志村けんさん70歳、死去 喜劇王コロナに屈す「8時だョ!」で脚光 笑い届けた半世紀
「変なおじさん」にも「バカ殿様」にも、もう会えない。昭和、平成、令和を駆け抜けた“笑いの大天才”が新型コロナに屈した。志村さんが亡くなった病院前で取材に応じた事務所の関係者は「本人もこういう亡くなり方をするとは思っていなかったと思う。最後まで皆さんに笑いを届けようと、使命感を持って頑張っていたと思う」と、志村さんの無念を代弁した。
志村さんは今月17日、けん怠感を覚えて自宅で療養。19日に発熱と呼吸困難の症状が出て、20日に都内の病院に搬送された。重度の肺炎と診断され、そのまま入院。21日から人工呼吸器などを付けたが、意識は戻らず話をすることもなかったという。新型コロナの陽性が判明したのは23日。集中治療室で人工心肺による治療を受けたが、力尽きた。
志村さんは2016年に肺炎を患い、今年に入って胃のポリープを切除する手術を受けた。長年にわたる喫煙と飲酒も影響し、免疫力が低下した状況で感染したのが災いしたとも考えられる。
1968年、ドリフのリーダーいかりや長介さんに弟子入りしてから50年以上、「だっふんだ」「アイーン」といったギャグ、「変なおじさん」や「バカ殿様」などのキャラクターを数多く生み出し、笑いの頂点に君臨した。“お化け番組”と称された「8時だョ!全員集合」では「東村山音頭」、「カラスの勝手でしょ」、「ヒゲダンス」などで社会現象を巻き起こした。
06年から始めた舞台「志村魂」はシリーズ化。幼児から大人まで幅広い層に分かりやすい形で爆笑を生むスタイルを貫いた。
私生活では共演者と浮名を流しながらも生涯独身だった。今月10日に収録し、25日に放送されたテレビ朝日系「あいつ今何してる?」では、結婚を真剣に考え両親にも紹介した歌手・大滝裕子(現AMAZONS)の存在を告白し、35年ぶりに再会。大滝はグループのツイッターで「最後にとても優しい笑顔で『嬉しいねえ』って言ってくださった事が何よりも嬉しかったです」と再会を振り返り、「涙が止まりません」と悲しみに暮れた。
国内で著名人が新型コロナ感染を公表後、死亡したのは初めて。重い警告を残して、志村さんは逝った。
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志村けん(しむら・けん、本名志村康徳=しむら・やすのり)1950年2月20日生まれ、東京都東村山町(現東村山市)出身。68年、いかりや長介さんに弟子入り。加藤茶の付き人に。72年、お笑いコンビ「マックボンボン」結成、芸能界デビューも自然消滅。73年、ドリフに見習いで加入。74年、メンバー昇格。76年、TBS「8時だョ!全員集合」の「東村山音頭」でブレーク。86年、フジテレビ「志村けんのバカ殿様」開始。99年、映画「鉄道員」で高倉健さんと共演。2004年、日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」開始。18年、フジ「志村でナイト」開始。