緊急事態宣言 そのとき街は…渋谷・大学生「最後に飲みに来た」不安の声や苦言も
安倍晋三首相(65)は7日新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく政府対策本部の会合を官邸で開き、緊急事態を宣言した。接触機会の7~8割減を目標とし、対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は5月6日まで。また、罰則など法的拘束力を伴う都市封鎖(ロックダウン)は実施しないことや、事業規模の総額で108兆円の緊急経済対策を実施することも宣言した。
安倍首相による緊急事態宣言の発令を受け、該当地域となる東京の主要都市は大きく揺れた。
東京・JR新宿駅前の商業施設「アルタ」の大型ビジョンでは、安倍首相の会見が音声入りで生中継された。真下の待ち合わせスポットには人影はまばらだったが、道を挟んだ広場では多くの人が立ち止まって見入り、“歴史的会見”の様子をスマホで撮影する人の姿も目立った。
一方で、緊急事態宣言に反対する団体が、安倍首相の声をかき消すかのように「安倍やめろ。会見やめろ。2カ月考えてマスク2枚」などとシュプレヒコールをあげ、混とんとした雰囲気が漂った。
発令を受けて解除されるまでの臨時休業を決めた百貨店「伊勢丹新宿店」の、派遣従業員の70代女性は1カ月間の“休職”をこの日宣告されたといい、「こういう状況なので仕方ないですが、仕事がないと収入もゼロに…。体が大事なのと生活が大変という、半々の気持ち」と複雑な胸中を吐露した。
普段は若者や通勤客でごった返す東京・渋谷もこの日は閑散。午後6時ごろには多くの通行人が足を止め、大型ビジョンに映る速報を眺めていた。
普段は待ち合わせで混雑しているハチ公前広場も、さすがに人はまばら。センター街もカフェ、居酒屋、カラオケ店など多くの店舗が臨時休業や閉店時間繰り上げを知らせる張り紙を店先に貼り出していた。
以前と比べて人の流れは半減したものの、街に繰り出す若者の姿も散見された。友人と待ち合わせをしていた20代男子大学生は「明日からということなので、最後に飲みに来た。外に出てほしくないなら、『出るな』と命令形で言ってほしい」と苦言を呈していた。