宝塚歌劇 コロナ禍で第2次世界大戦以来の打撃、異例の退団日変更
コロナ禍はタカラヅカに第2次世界大戦以来の打撃を与えた。2月29日から中止・再開を繰り返し、3月12日からは中止が続いている。大劇場での3カ月以上の公演中止は第2次世界大戦で閉鎖(1944~46年)されて以来。トップスターの退団日変更も阪神・淡路大震災時に宝塚大劇場で千秋楽を迎えられなかった、花組トップ安寿ミラ以来となる。
95年1月17日の阪神・淡路大震災で被災したときも、本拠地の宝塚大劇場は3月31日からと、わずか2カ月半で復旧。だが今回は7月に開幕したとしても、3カ月以上の中止となる。
劇団の公演は年単位で決まっている。約400人の生徒、演出家、衣装、大道具や小道具、装置と全てが自前。1つの演目が上演されるまでには、莫大な時間とお金がかかる。大がかりな装置や衣装、多くの出演者で長めの稽古期間も必要で、自粛が終わったからといって、すぐに開幕はできない。自前ゆえに日程を動かすのは簡単と思われがちだが、スケジュールも詰まっており、実際には不可能に近いのが実情だ。
それだけにトップスターの退団日変更も、極めて異例。近年で変更されたのは、阪神・淡路大震災で本拠地での退団公演が途中で中止となった花組トップの安寿ミラのみ。4月29日に東京公演千秋楽を迎え、5月4、5日に宝塚大劇場でサヨナラショーを行った。
望海は退団会見で「トップという立場にならせていただいたとき、2020年が1つの区切りかなと思った」と語っていた。また珠城も会見で「私の退団は次への一歩。ファンの方には会えていませんが、いつもどうしてるかなって。会える日を楽しみにしています」とファンへの思いを口にしていた。
今回、花組新トップ・柚香光の大劇場お披露目は東西、星組新トップ・礼真琴は東京の大劇場お披露目公演が中止となった。歌劇団では「どのような形での見直しになるか、現在検討中。まだどの公演をいつ上演するのか、退団日がいつになるのかなど、全く決まっていない」と語る。
現在、生徒は稽古を中止し、自宅待機中。4月24日開幕の月組公演で106期生が初舞台を踏み、ラインダンスを披露予定だったが、こちらも延期で、まだ何も決まっていない状況となっている。
だが今回の発表に、ファンからは「思い切った決断。変更でよかった」「涙が出るほどうれしい」「未練を残したくなかったからよかった」「中途半端な気持ちで送り出したくなかった」と言った声が上がり、劇団の決定を歓迎していた。