藤山直美「上方喜劇にますます精進」
政府は2020年春の褒章受章者を28日付で発表した。受章者は660人(うち女性190人)と22団体で、発令は29日。学問や芸術分野で功績を残した人に贈られる紫綬褒章には、落語家の春風亭小朝(本名・花岡宏行)(65)、俳優の藤山直美(本名・稲垣直子)(61)、作家の篠田節子さん(64)ら計19人が選ばれた。
人間の心の機微を豊かに表現し、多くの観客に笑いと涙を届けてきた。上方の人情喜劇を支える名優だ。紫綬褒章受章の知らせに藤山は「誠にありがとうございます。心より感謝いたしております」と談話を発表した。
昭和の喜劇界を代表するスター故藤山寛美さんの三女。父の死去後、同じ芝居の道を走り続けてきた。代表作は舞台「桂春団治」「喜劇 道頓堀ものがたり」など。2006年度にはNHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」で主演し、お茶の間からも親しまれる。
笑いを誘う絶妙な間合い、哀愁を漂わせる味わい深い演技で、関西の女のいじらしさや強さを体現してきた。一時は初期の乳がん治療のため休養したが、18年10月から復帰。体力の回復に配慮しながらも、精力的に舞台に立っている。
「皆々さまに喜んでいただけるよう、上方喜劇にますます精進してまいりたいと思っております」と今後の抱負を記した。