【中田宏の先憂後楽】パチンコ問題って何が問題?「補償のない禁止はダメ」
新型コロナウイルスの影響で、社会状況が刻一刻と変化する日々が続いています。今さら聞けないコロナ時代の疑問を、衆議院議員と横浜市長を務めた中田宏氏(55)がイチから解説する「中田宏の先憂後楽」。テーマは「パチンコ問題」。神奈川県などが休業要請に従わなかったパチンコ店の店名を公表し、兵庫県などは要請よりも強い休業指示を通告。パチンコ店を巡る問題が全国に広がっています。何が問題なのか-。教えて、中田先生!!
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大阪府の吉村洋文知事は4月30日、新型コロナウイルス特別措置法に基づき、休業要請に従わなかったパチンコ店の店名を公表した。クラスター防止策の一環だが、一部では「強権だ」と批判する声もある。他県では公表したことで、逆に客が殺到してしまう現象も起きた。
結果的に大阪府では、店名を公表された店舗はすべて休業。兵庫県などはコロナ特措法で最も強い休業指示を通告している。
世間を騒がせる“パチンコ店問題”について中田氏は「現行法の中で人の流れを止めようというなら、僕でも店名公表は考える。パチンコはスケープゴート的にもなってるよね。パチンコは『人をなるべく避けよう』と言っているのに、そこに行ってはいけないんだということを伝える象徴」と説明する。
営業「禁止」ではないため、休まなくても罰則はない。だが、休業しても補償もない。
「パチンコ屋さんは(営業を)回していかないと倒産してしまうという店が多いんだよね。台を入れ替えて、そのたびに借金をしてる。国が休業に対する面倒を見られればいいけど、何でできないかというと、強制ではないから。飲食店も自粛要請。営業禁止にはできない。そもそも論はそこ」。
安心して営業を止められる補償がセットになっていないことが問題。ならば、新しいシステム作りは選択肢の1つかもしれない。
「法律を作る議論をしないといけない。西村経済再生大臣は『罰則を伴う、より強い強制力のある仕組みの導入について検討せざるを得なくなる』と話していたが、補償のない『禁止』になってしまうかもしれない。それじゃダメ。国民の政治リテラシーを上げて、禁止と補償をセットにする議論を社会が分かっていないといけない」
◆中田宏(なかだ・ひろし)1964年9月20日生まれ。神奈川県横浜市出身。青山学院大を卒業後、松下政経塾に入塾。92年に日本新党の結党に参加し、細川護煕や小池百合子の秘書を担当。93年に衆院議員に初当選。通算4期務める。02年から2期連続で横浜市長となり、財政改革を断行。「日本の構造研究所」代表。タイトル「先憂後楽」は「リーダー論です。次の世代が楽になるように先代はやっておけ、ということです」。