【中田宏の先憂後楽】政府のコロナ対策遅さの原因は…「縦割り」を変えられないこと
新型コロナウイルスの影響で、社会状況が刻一刻と変化する日々が続いています。今さら聞けないコロナ時代の疑問を、衆議院議員と横浜市長を務めた中田宏氏(55)がイチから解説する「中田宏の先憂後楽」。テーマは「安倍政権の危機管理」。政府による一連の新型コロナ対策を「遅い」と断じる中田氏。何が問題なのか-。教えて、中田先生!!
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政府による一連の新型コロナ対策は、適切なのか。中田氏は「遅い」と断じる。
「ガードを高く構えてだんだん下ろしていけばいいのに、政府はどんどん上げている。緊急事態宣言を出して、その後に休業要請の対象となる店を出して、その後にまた緊急事態宣言を延長する。フランスは学校の延期は半年で9月まで(休校の解除を)やらないと言ったけど、収まってきたから前倒しにしようとなった。政府は危機管理の要諦ができていない」
4月8日、政府は緊急事態宣言を発令したが、東京都がまとめていた自粛要請の対象リストの公表に難色を示し、10日にズレ込んだ。感染拡大防止を重視した「都」に対し、経済への影響を懸念し、慎重になった「政府」との間で調整が難航したためだった。
「緊急事態宣言と、どこに自粛してもらうかは同時に出すべきなのに、それが何日もズレるのは遅い。危機の時は、とにかく『空振りは許されるけれど、見逃しは許されない』。空振り、すなわち手を打つだけ打って、それが無駄になってもいい。でも、見過ごして、後々取り返しが付かなくなることがダメ。危機管理として、手を打つのが遅い」
なぜ判断が遅れるのか。原因は「政策決定の構造」と「安倍総理のリーダーシップ」にあるという。
「なんで遅いのかといえば、やはり中央官庁の役人の情報に乗っかっている状態の政府と、大統領的にトップがいて、スタッフがいる東京都との差。外食は農林水産省、パチンコは警察庁…と分かれているけれど、この緊急時において、今までの縦割りの政策決定を変えられていない。まだ『緊急時の頭』に切り替えられていないのが今の政府なんです」
◆中田宏(なかだ・ひろし)1964年9月20日生まれ。神奈川県横浜市出身。青山学院大を卒業後、松下政経塾に入塾。92年に日本新党の結党に参加し、細川護煕や小池百合子の秘書を担当。93年に衆院議員に初当選。通算4期務める。02年から2期連続で横浜市長となり、財政改革を断行。「日本の構造研究所」代表。タイトル「先憂後楽」は「リーダー論です。次の世代が楽になるように先代はやっておけ、ということです」。