テレ東魂、逆転の発想!「家、撮ってもらってイイですか?」高橋弘樹P舞台裏語る
街で声をかけた人々の家を訪問するテレビ東京の人気バラエティー「家、ついて行ってイイですか?」(水曜、後9・00)が、「ロケの撮影マニュアル」を公開し、話題を呼んでいる。新型コロナウイルスの影響でロケが完全にストップする中、視聴者がロケをする“家ついごっこ”を促し、あわよくばロケ風の映像を投稿してもらおうという狙いだ。プロデューサーの高橋弘樹氏に舞台裏を聞くと、逆転の発想で誕生した“家、撮ってもらってイイですか?”にはテレ東魂が詰まっていた。
ロケできないなら、視聴者にロケしてもらおう。逆転の発想で番組をつくっている。
4月8日に公式HPで「同居している家族とペアになって、家の中を撮影しましょう」と提案。8つの重要ポイントでプロっぽい映像を撮る方法も開陳。視聴者に投稿を呼びかけると、約20本が集まった。
6日放送回で3本が流される予定で、高橋氏は「家でできる遊びを提案できればと思いつつ、放送の尺がほしいという薄汚い魂胆もありつつの半々だったんですが、かなり完成度は高かったです。テロップやワイプが入っていたり、テレビマン以外でも編集はできちゃうんだな」と望外の力作ぞろいにニンマリだった。
内容も30秒~20分と様々。中にはフィンランドから届いたものもあった。フィンランド人と日本人の夫婦が国境を越えて応募してくれたという。
「ネットニュースを見て応募してくれたみたいですが、フィンランドも外出自粛があるらしく、面白かったです。以前、エチオピアとイランでロケをしたことがあるんですが、2カ国で1000万円くらい予算がかかったので『海外でガチロケをするもんじゃないな』と思ってたんです。今回はタダでできちゃった。ラッキーです」
新型コロナの影響で、3月末からロケが完全にストップしている。約70人のディレクターが連日、日本各地で声をかけ続けてきたため、総集編や未公開映像などをつなげても半年は持つ。だが、高橋氏は「時代の空気を切り取って、市井の人の『この時代』を描くのがテーマ。コロナでこれだけみなさんの生活が変わった中で、昔のものを流しても浮き世離れしてしまうと思うんですね」と、立ち止まるつもりはない。
ロケが中止となった当初は、スタッフも塩漬け状態だった。働きたくても働けない状況を打破すべく、テレ東は制作局にリモート番組を発案する専門チームを創設。高橋氏もその一員で「随時、企画提案をして、編成もどんどん採用していこうと考えてくれている。スタッフは生き生きして、新企画の提出が増えています」と、ピンチをチャンスに変える社風がスタッフの目の色を変えさせている。
新番組しかり、既存の番組の新企画しかり。社内の活性化に高橋氏は「コロナが起こらなかったら、ルールが変わっていない以上、今まであったものの方が強い。でも、ルールが変わると違うものをやらなきゃいけない」。低予算をアイデアで乗り越えてきたテレ東。逆境を武器にする“日常”が、コロナ直撃の非日常に生きている。