トランプ大統領 マスク工場にマスクせず視察 批判避けられず?

 トランプ米大統領は5日、西部アリゾナ州を訪れ、新型コロナウイルス対応のために医療用マスクを生産する工場を視察した。その際、マスクを着けていなかった。米メディアによると、従業員らはマスク姿で作業していたといい、新型コロナウイルスの感染拡大防止を呼び掛ける指導者として不適切との批判を受けそうだ。

 トランプ氏は視察の際、目を保護する透明なゴーグルだけ着けて、同行者もマスクは未着用だった。視察後の演説時もマスクを着けなかった。現場には着用を求める注意書きがあったが、工場側が必要ないと伝えたという。

 トランプ氏はマスク着用に一貫して消極的な姿勢を示している。政権ではペンス副大統領が4月下旬に中西部ミネソタ州の病院を視察した際、規則を無視して一人だけマスクを着用せずに巡回し、強い批判を浴びた。

 トランプ氏は3月上旬の感染拡大後、自粛していた全米各地への視察を再開させた。11月の大統領選に向けて早期の経済活動再開を促すほか、接戦州である同州訪問で支持固めの狙いもあるとみられる。マスク工場での演説では「わが国は安全で段階的な経済再開という新たな闘いの舞台に立った」と表明。マスクなどの医療品について生産拠点を国内に取り戻す必要があると訴えた。

 ジョンズ・ホプキンズ大の5日の集計によると、米国の感染による死者は7万人を超えた。トランプ氏は4月中旬に最終的な死者数として6万~6万5千人との予測値を示しており、見直しを余儀なくされた。経済再開を優先させる政権の姿勢に専門家から懸念の声も上がっている。

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