令和の「大映ドラマ」 ドラマ「M 愛すべき人がいて」が「昭和過ぎる」と大人気!
テレビ朝日系ドラマ「M 愛すべき人がいて」(土曜、後11・15)が注目を集めている。歌手・浜崎あゆみ(41)が誕生するまでを描いた小説が原作ながら、ドラマ版では登場人物の強烈なキャラクターと演技、特徴的なセリフ回しの数々に「昭和をほうふつとさせる」と、ネットでも話題が沸騰。作品のコンセプトと反響を受けての心境を、同局の服部宣之プロデューサーが明かした。
熱い言葉をストレートに連発する敏腕プロデューサー、嫉妬に狂う眼帯姿の美人秘書、いかにも腹黒そうな社長…アクの強いキャラクターが「M」にはズラリと並ぶ。ヒロインはライバルから靴に画びょうを入れられたり、重いリュックサックを背負ったマラソン勝負でオーディション合格者が決まったり…。服部プロデューサーは、脚本を担当した鈴木おさむ氏との間では「『大映ドラマ』が共通ワードでした」と明かした。
「スチュワーデス物語」、「不良少女とよばれて」、「スクール☆ウォーズ」など、1980年代を席巻したのが大映テレビ制作の実写ドラマ。主人公が数々の試練に耐えて成長し、成功をつかむのが定番で、オーバーな感情表現やセリフ、急転直下のストーリー展開が特徴だった。
そんな世界観を令和の時代に持ち込むと、ネットが沸騰。「昭和過ぎる」、「ツッコミどころが満載」、「振り切っている」といったコメントがあふれた。ツイッターでは日本のトレンド2位、世界のトレンドにもランクインした。
服部氏は「想像以上ですね。視聴者の方が参加したことによって、最終的に完成したドラマになったなと、すごく思ってます。すごく意外でした」と反響に驚く。そして「最初から狙い過ぎたら、こうはならない気がする。好きな世界、届けたい世界を、大まじめに届けた方が、絶対いいのかなと。僕らは『M』を描くのに、この道が一番いいんじゃないかと思った」と、演出の意図を説明した。
新型コロナウイルスの影響で撮影は休止中。第4話の放送は延期となったが、9日に放送する第1話リミックスバージョンでは、副音声でタレントの伊集院光と社会学者の古市憲寿氏が視聴者目線のトークを展開。新たな楽しみ方を提供する。
「ツッコんで見てもらって。何と言ってもらってもいい覚悟はある」と苦笑する服部氏は「ドラマはコミュニケーションツールであってほしいし『M』がそうなればうれしい」と話す。放送の翌日、学校や職場でみんなが盛り上がる。今ならリアルタイムでネットのやりとりが発生する。そんな光景が理想だ。
最近では見られない独特の世界観。服部氏は「フィクションの非日常の世界を、『M』という世界を、ただただ楽しんでもらえたら」と希望し、「オンライン飲み会の最高のおつまみになるんじゃないかな」と笑った。