安倍首相VS枝野代表 「#検察庁法改正案に抗議します」で国会応酬
安倍晋三首相(65)は11日の衆参両院予算委員会で、検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案について「恣意(しい)的な人事が行われるといった懸念は全く当たらない」と改めて強調した。立憲民主党の枝野幸男代表(55)は、改正案に対するツイッター上の抗議が記録的な数に達したとして「感染症による危機状況を悪用した火事場泥棒だ」と批判した。改正案をめぐっては、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを付けたツイートが一時480万件を超え、多くの著名人も参加する一大ムーブメントとなっている。
検察庁法改正案は、国家公務員の定年を引き上げる国家公務員法改正案と一体で審議されており、検察官の定年引き上げに加え、次長検事と検事長の定年については内閣が延長、再延長できるとの内容を盛り込んでいる。
政府は1月末、官邸に近いとされる黒川弘務東京高検検事長(63)の定年を半年間延長する異例の閣議決定を行った。野党や法曹界からは「検察上層部人事への露骨な介入」、「検察の独立を根底から覆す」などと強い懸念が出ている。
首相は「高齢期の職員の豊富な知識、経験などを最大限活用するという国家公務員法改正案の趣旨や目的と同じだ」と意義を述べ、ツイッター上の抗議には「政府の対応にさまざまな反応もある」と指摘した。
自民党の森山裕国対委員長(75)は、週内に衆院を通過させる意向を記者団に表明。「どうしても今国会で(成立を)やらせてもらうことが大事だ」と強調した。検察官の定年延長部分を削除すべきだとの指摘に関しては「(法案の)分離は非常に難しい」との認識も示した。立憲民主党の安住淳国対委員長(58)が森山氏と会談し、削除を求めたことに対して述べた。
安住氏は森山氏に「(削除を)しなければ、採決には応じない」と明言。記者団に「国民を挙げて新型コロナウイルスと闘っている時に、恣意(しい)的な人事を行うための法改正を認めるわけにいかない」と強調し、内閣による延長規定を削除した修正案を、12日に衆院へ提出する考えを示した。これに先立つ野党4党の国対委員長会談でも、結束して臨む方針を申し合わせた。