緊急事態宣言解除 どうなるテレビ業界、映画界、音楽業界…
安倍晋三首相は25日夕に記者会見し、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、北海道と首都圏の東京、埼玉、千葉、神奈川の計5都道県で終了し、全都道府県で解除すると表明した。政府は外出やイベント開催の自粛、休校などの要請を段階的に緩和し、8月1日に経済活動を全面的に再開させる。芸能界の出口戦略にめどを付け、今後は、コロナと共存する“新しい生活様式”をいかに実践していくかが問われていく。
テレビ業界では今後、撮影を休止していたドラマなどの撮影再開について収録日やオンエア日の検討に入っていく。
第2話で中断したフジ系「SUITS/スーツ2」(月曜、後9・00)は6月上旬の撮影再開を目指し準備。放送再開は同月中旬から7月初旬となるが、関係者によれば、全話数を放送する方向で調整を進めている。
また、テレビ朝日系「M 愛すべき人がいて」(土曜、後11・15)も早ければ6月初旬に撮影を再開し、同月中旬からの放送再開を予定。「BG~身辺警護人~」(木曜、後9・00)も再開に向け準備する。
“3密”回避や、手指の消毒、ソーシャルディスタンスの確保など「新しい生活様式」を演出に盛り込まざるを得なくなるといい、脚本を再度書き換えるなどの措置も余儀なくされる。ロケ場所の確保や、多数のエキストラ招集が望めなくなるなど、現場の混乱も予想され、従来のようなスピードで撮影が進められるかを懸念する声もある。
映画界は、都の休業要請緩和のタイミングを見据える。大手配給会社関係者は「6月1日から段階的に再開できたら」と話す。ただ、ソーシャルディスタンスを保つため、客数を大幅に制限されるため、別の関係者は「再開しても当面は過去に公開した作品を上映する。7月に待機する大型作品への“準備期間”」と語った。本格的な集客は夏休み公開作に期待を寄せた。
新作の撮影については「6月から徐々にしたい」とした一方で、中断している撮影再開については「そろそろ始めないと公開に間に合わないので焦っている」と明かした。
都の休業要請緩和でステップ2に入る劇場は早ければ今週末にも再開を認められる予定だ。落語協会、落語芸術協会関係者はともに寄席の再開について「6月1日を目指している」と話した。関係者からは「どのタイミングで、どのような状況で解除されるのかが分からない」と混乱の声も上がった。
歌舞伎について複数の関係者は「通常興行は早くて8月以降の見通し」と話した。
音楽業界は苦悩が続く。ライブやイベントについては100人程度から順次、収容人数拡大の方針が示されたが、関係者の間では年内開催は困難という見方が多い。大手レコード会社社員は「ファンクラブを対象とした小規模なものから、再開させていくことになるのでは」と指摘した。