紀州のドン・ファン親族 遺言書無効求め提訴「全財産(約13億円)市に寄付」
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家で、2018年5月に急性覚醒剤中毒で死亡した和歌山県田辺市の酒類販売会社元社長野崎幸助さん、当時(77)=の兄(86)ら親族4人が「全財産を市に寄付する」とした野崎さんの遺言書の無効確認を求め、遺言執行者の弁護士を相手取り和歌山地裁に提訴したことが27日、分かった。
市によると、遺産は約13億5千万円とみられ、18年に市職員が和歌山家裁田辺支部で遺言書を確認。3月の市議会で寄付受け取りの関連費約1億1700万円を含む20年度当初予算を可決した。
遺言書の作成は13年2月8日付。原告側は①コピー用紙1枚に赤ペンで手書きされ熟慮の末に作成したとは考えにくい②市に寄付する合理的動機が見当たらない③遺言書が保管、発見されたとされる状況が不自然-などの理由で「野崎さん以外が遺言書を作成し無効だ」と主張している。
遺言執行者の弁護士は取材に「詳細は答えられない」、田辺市の担当者は「今はコメントできない」とした。
野崎さんは生前、半生や女性関係を赤裸々につづった著書を出版。県警が不審死として捜査を続けている。