藤井七段 最年少挑戦のタイトル戦第1局を勝利「集中できた」
将棋の藤井聡太七段(17)が、渡辺明3冠(36=棋聖、棋王、王将)に挑戦する第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局が8日、東京・千駄ヶ谷の将棋会館で指され、藤井七段が勝利。初のタイトル戦を幸先良く勝利でスタートした。
対局後のインタビューでは「集中できたかなと思います」と感想を語り、「次の対局をしっかりのぞみたい」と早くも次局をにらんでいた。会見では「3勝のうちの1勝で、はっきりタイトルが見えてきたか?」と質問されると、「先勝できたのはよかったですけど、まだまだ始まったばかりなので」といつもの通り、冷静な様子で語った。
会見の最後に、ネットテレビで対局を見守った視聴者にメッセージを、と求められ、「まず一つ勝つことができてホッとしています。ありがとうございます」とはにかんだ。
17歳10カ月20日の史上最年少タイトル挑戦となった藤井七段は、歴代5位のタイトル通算25期を誇る渡辺3冠に対しても真っ向勝負。優劣不明のまま突入した終盤戦も冷静な差し回しを見せ、渡辺3冠のわずかな緩手をついて一気に勝勢を築いた。最終盤、渡辺3冠が放った連続王手の勝負手にも、冷静に対応。最後は秒読みの中、一手で形勢が逆転する緊迫の場面も、ミスを犯すことなくしっかりと勝ち切った。
タイトル戦の対局者は和服を着用することが多いが、藤井七段は挑戦を決めてから第1局までわずか4日という過密日程もあり、この日は普段通りのスーツ姿で対局。対局場も慣れ親しんだ将棋会館の特別対局室とあり、入室時も緊張した様子は見せなかった。
午前9時の対局開始を前に、8時43分に入室。振り駒で先手番となると、“ルーティーン”通りにお茶をひと口含み、おもむろに7六歩と着手。注目された戦型は、最も得意とする角換わりではなく、相矢倉となった。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の影響で、4月11日から100キロを超える遠距離移動の対局はすべて延期に。愛知県在住の藤井七段は対局を行えなかった。6月1日に遠距離移動の対局が再開され、2日に準決勝、4日に挑戦者決定戦、8日に五番勝負開幕という異例の日程が実現した。
プロになってから初めての2カ月間ものブランクに、1週間で3回の大勝負というハードスケジュール。常識的には厳しいハードルも、鮮やかにクリアしてみせた。
第2局は6月28日。