藤井七段が先勝【一問一答】「最後の方は分からないまま指していた」
将棋の藤井聡太七段(17)が8日、東京・将棋会館で行われた「第91期棋聖戦」五番勝負第1局で、渡辺明三冠(36=棋聖、棋王、王将)に勝利。史上最年少で臨んだ初のタイトル戦を、幸先良く白星でスタートした。
対局後には「集中できたかなと思います」と感想を語り、「次の対局をしっかりのぞみたい」と早くも次局をにらみ、表情を引き締めた。その後の会見では「3勝のうちの1勝で、はっきりタイトルが見えてきたか?」と質問されると、「先勝できたのはよかったですけど、まだまだ始まったばかりなので」といつもの通り、冷静な表情を崩さなかった。【以下、一問一答】
(終局直後、感想戦前に)
--一局を振り返っての感想を。
「自分で苦しくしてしまったけど、その中で勝負勝負といけたのが良かったかと」
--先手番で、戦型は角換わりではなく、矢倉だった。予定していたのか。
「予定ではあったんですけど…。角換わりと矢倉かとどちらかと考えたんですけど、今日は矢倉でいこうと」
--初めてのタイトル戦の印象は。
「素晴らしい環境を用意していただいて、その中で対局できるのは非常にありがたいなと。盤面には集中できた」
--タイトル戦初勝利の感想は。
「なんとかまず1勝できたことをうれしく思います。番勝負なので、次の対局もしっかり臨めれば」
(別会場でリモート会見)
--改めて感想を。
「先制することが出来て良かったなと思っています。(次局まで)しばらく間があるので、しっかり準備したいと思っています」
--最後はヒヤヒヤした場面もあったのか。
「最後。かなり際どい展開になって、時間もなかったので、本当に最後の方は分からないまま指していたという感じでした」
--勝利を意識したのは。
「(後手の)6七金に9七玉と上がった時点で、(自玉が)詰まないなと思いました」
--タイトル戦だが、和服は着用しなかった。
「(挑戦決定から)少し時間がなくて…。和服自体は、師匠にいただいたものがあったんですが、少し勝手が分からなかった。第2局以降に着られればなと思っています」
--第1局を勝ったことで、タイトルに一歩近づいた。
「1つ勝つことができてほっとしたというところはあります。ただ、まだまだ先は長いので、第2局以降もしっかり指せればと思っています」
--3月以降は全勝が続いている。内容もトップ棋士を相手に素晴らしい。現在の調子はどうとらえているか。
「最近はトップ棋士の方と公式戦で対戦できる機会も多くて、自分としては充実しているなと感じています」
--渡辺棋聖も充実した状況。タイトル戦で相対して感じたところは。
「長い持ち時間での対局は初めてだったんですけど、中盤でいくつかこちらが思いつかない手を指されて、そういったあたりはこちらも見習わなければいけないところなのかなと」
--1週間で3度の大一番。過密スケジュールだった。
「ここまで対局続くのはあまりなかったことなので、体調管理に気をつけた。休むときはしっかり休もうと」
--これがタイトル戦なんだなと思った場面、事象は。
「タイトル戦ですと普段の公式戦以上にいろんな方に携わっていただいて、これだけの対局ができているんだなと感じました」
--スーツで対局すると決めたのはいつだったか。
「(今月)4日の挑戦者決定戦で勝った時点で、第1局についてはスーツでと思っていました」
--だれかと相談したか。
「師匠に相談して、第2局以降でということに」
--普段の対局後と変わらない印象。
「対局については普段通り臨むのが一番いいかなと思いました」
--今日、指しながら今までにないような充実や、今までにない思いなどは。
「今日の将棋は、最終盤かなり際どい展開になって…、自分の中で充実感というのはありました」