熱中症対策で外しマスク 日本郵便配達員、屋外限定で ヤマト運輸や佐川急便も追随
気温が高い夏場を前に、物流業界では配達員の熱中症を防ぐために、屋外などでの業務中に各自の判断でマスクを外す取り組みが広がってきた。日本郵便は10日、周知用のステッカーを貼ったバイクを報道陣に公開。ヤマト運輸や佐川急便も追随し、各社は新型コロナウイルス感染防止と暑さ対策との両立に理解を求めている。
東京都内ではこの日午後3時時点で、熱中症の疑いで11人が救急搬送された。湿度の高い蒸し暑い日が発生する6月ごろから、熱中症疑いは多くなるという。
そんな季節を見越して、日本郵便は、今月5日から10月末まで屋外では他人との距離に十分注意した上でマスクを外すことにした。郵便局の窓口や郵便物の集配時など人との距離が2メートル以内に近づく時は、引き続きマスクを着ける。ヤマト運輸や佐川急便もホームページで同様の措置を取ると公表している。
東京都内の男性郵便配達員は「着脱が面倒なので休憩時間以外は基本的にマスクを着けるが、外してもよいと会社が示してくれたので少し気が楽になる」と話す。
物流以外でも同様の動きが広がりつつある。全国警備業協会は5月末、熱中症リスクを軽減するため、新型コロナ対策の業務ガイドラインを改訂。屋外では十分な距離を取り、顧客などの理解を得た上でマスクを外すとしている。
ファミリーレストラン「ガスト」などで弁当を宅配するすかいらーくホールディングスも、スタッフに商品の受け渡し時以外のマスク着用を求めず、首元を冷やすネッククーラーを配布するなどしている。
マスク着用を巡っては、していない人を怒ったり、着用を強要したりする「マスク警察」が問題化。物流業界の関係者は「熱中症対策でマスクを外すのが必要だと分かってはいても、着用への同調圧力と相互監視が強く、なかなか決断できなかった」と明かしている。