作編曲家・服部克久さん逝く「ミュージックフェア」テーマ曲など6万曲分の譜面遺し
フジテレビ「ミュージックフェア」の音楽監督を務め、TBS「ザ・ベストテン」のテーマ曲など数多くの音楽を手掛けた作編曲家の服部克久(はっとり・かつひさ)さんが11日午前8時42分、心不全のため東京都内の病院で死去した。83歳。東京都出身。国民栄誉賞の作曲家・服部良一さんを父に持つ音楽一家で、音楽家生活60周年を迎えた昨年に、作曲家の息子・服部隆之氏(54)、ヴァイオリニストの孫娘・服部百音(19)との初の3人共作をリリースしたばかりだった。
偉大な父から受け継いだ才能を、テレビ草創期から発揮し続けた音楽家が、人生の最終楽章を奏で終えた。関係者によると、服部さんは近年、体調が優れず、今年に入って入院していたという。12日にも服部さんの個人事務所が報告する見込み。
入院中も制作意欲を燃やし、今春には環境保護をテーマにした楽曲の打ち合わせにも参加。体調を心配するスタッフには、「大丈夫だよ」と気丈に応じていたというが、志半ばで力尽きた。
服部さんは、戦後の音楽に多大な影響を与え、国民栄誉賞を受賞した良一さんの長男として、1936年、東京都で生まれた。幼少期から音楽の英才教育を受け、高校卒業後に留学。58年、パリ国立高等音楽院を修了した。
フジテレビ「ミュージックフェア」には、64年の番組スタートから携わった。同年の東京五輪では、体操競技の入場曲などを担当。71年に「花のメルヘン」で、「第13回日本レコード大賞編曲賞」を受賞した。
80年には山口百恵さんの引退公演の音楽監督を担当。90年「大阪・国際花と緑の博覧会」などビッグイベントの音楽プロデュースを務め、谷村新司の「昴」、竹内まりやの「駅」など名曲の編曲を多数手掛けた。ヒット曲のアレンジなど延べ約6万曲分の譜面を生み出した。
息子の隆之氏は作曲家として第一線で活躍。孫娘の百音もヴァイオリニストとして、16年にCDデビューを果たした。昨秋発売した、ライフワークだったアルバム「音楽畑」の最新作「The Final?」には、3人の初共作「ル・ローヌ(河)」を収録。4世代にわたる音楽一家として、さまざまな音色を響かせた。