牧山純子“エレキ”バイオリン初挑戦「JOY、楽しさ、喜びを同一化できたら」

 ジャズバイオリニストの牧山純子(45)が今春、牧山純子ニュー・プロジェクト名義でニューアルバム「アレグリア」をリリースした。アルバムタイトルはスペイン語で「喜び」を意味する。牧山は「今の時代、音楽に何が求められているのか。JOY、楽しさ、喜びを同一化できたら」と、新作に込めた思いを語った。

 20代後半になってクラシックからジャズに飛び込んだ牧山には「もっとバイオリンの可能性を見いだしたい」という志向がある。17年のアルバム「ルチア~スロベニア組曲」では、クラシックとジャズを融合させた。

 今回、「違う扉、可能性を」とエレクトリック・バイオリンに初挑戦。イーグルスやTレックスといったロックのカバーも含む、ポップで心地よい音の世界を届けている。「かなり手を入れていて、すぐ簡単に再現できる作りの音楽ではない」という、手の込んだ作品でもある。

 エレクトリック・バイオリンには「バイオリンじゃない音が出るっていう根本的な面白さ」があるという。「この子を使うときはギターのエフェクターをかませて、曲に合った音色(おんしょく)に加工したものを使っています」と、アコースティックとは異なる個性を打ち出し、「忘れがちな初心を機械音楽の中に入れて、すごく面白くなった」と仕上がりに自信を見せた。

 牧山は本作を「また違う一面を出せて、自分の人生がまた彩り豊かになるっていう期待があります。挑戦して、色んなものを取り入れて、進化していくスタートになっているアルバムだと思います」と位置づけている。

 本作は新型コロナウイルス禍の中での発表となったが、牧山は「音楽に悲しいできごとはそう起こらない。特にインストゥルメンタルは、聴いてくださる方々に自由に育てていただく。気持ちの相違がない、戦わない、傷つけない」と説く。

 「音楽が心の栄養になるのであれば、いつ何時でも奏でますし、皆の気持ちを晴れやかにする作品になっていればうれしい」と今作が人々の力になることを願い、「皆さまと共に喜びを分け合いたい」と、ライブの再開を待ち望んでいる。

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