T-SQUARE 「AI」は愛だ 最大29歳差も「SQUARE愛、共有している」

 日本を代表するポップ・インストゥルメンタル・バンド「T-SQUARE」が6月、実に47枚目となるニューアルバム「AI Factory」をリリースした。リーダーでギタリスト、そしてただ一人の結成メンバーでもある安藤正容(65)によると、AIとは「AI(人工知能)」でもあり、「愛」でもあるという。世代は違っても愛と友情で結ばれた4人組が、メンバーの大病を乗り越えて届けた新作について語った。

 「AI」とは何を意味するのか。ジャケットはロボットのイラストだから人工知能のAIかとも思えるが、安藤がタイトル曲を作曲した坂東慧(36)に聞いたところ、言葉を濁したという。

 「『愛』ファクトリーみたいなことを言いたかったのかな。でも、照れ臭さから『AI』にしたのかなと。こういう時代だからそういうふう(AI)になっていくけど、大事なのは愛だと言いたかったんじゃないかな」

 現在のT-SQUAREは、安藤と伊東たけし(66)が1954年、河野啓三(49)が71年、坂東が83年の生まれ。年齢差は大きいが、世代間ギャップは感じられない。

 「河野君や坂東は、SQUAREってこんな感じだよなっていうのをすごく持っている。それに添ったものを書いてくるし、一緒に演奏していて、こういうのが気持ちいいなというのは皆その都度、気持ちを共有しているから、とんでもない方向には行かない」と、取り組み方は一致しているのだという。

 安藤は4人の関係性をこう説明する。

 「僕と伊東さんは同世代で昔からの仲間。何でも言いたいことを言える。河野君と坂東もSQUARE愛をすごく持ってくれてるし、いかにいいバンドにしていくか、僕や伊東さん以上に一生懸命考えている。セットリストを考えるのが坂東だったり、譜面がない昔の曲を譜面に起こしてくれるのが河野君だったり、すごく努力してくれている」

 昨年2月には、河野が脳出血で倒れる大きな危機があった。後遺症で左半身が不自由になっているが、昨年12月にはライブに復帰。前作には参加できなかったが、今作では3曲を提供し、レコーディングにも参加した。

 安藤は「アレンジをほとんどしてもらったり、音色を考えてもらったり、構成を考えてもらったり」と、河野の大きな役割を説明。そんな河野に他の3人も応え、「立ち位置ができるよう」作編曲に工夫を凝らした。

 「僕の曲を書く時は(河野が)伊東さんとユニゾン、メロディーのハモりをすることを思って(書いた)。坂東は坂東で、僕と伊東さんのカウンターメロディーを河野君がやって一つのメロディーになるよう考えてある。坂東のバラードは音数が少なくできていて、河野君の右手だけで十分成り立つようアレンジされている」

 グループ愛と、メンバーそれぞれへの愛を全員が持っている。「AI」はやはり、メンバー同士の「愛」なのだろう。

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