藤井新棋聖、探究の道歩む「将棋とは本当に難しいゲーム」 3年半での戴冠も
16日に大阪市の関西将棋会館で行われた第91期棋聖戦第4局に勝利し、17歳11カ月の史上最年少タイトル獲得を成し遂げた将棋の藤井聡太棋聖(17)が、快挙から一夜明けた17日、同所で記者会見を行った。晴れやかな表情で登場した藤井棋聖は、色紙に「探究」という文字を揮毫(きごう)。将棋について「まだまだ分からないことばかり」と語り、今後のさらなる成長を誓った。
新たな歴史の扉を開いた瞬間から、わずか14時間弱。タイトル獲得から一夜明けの午前9時。藤井棋聖は対局時とは違い、あどけなさも残す柔和な表情で登場した。
タイトル獲得の思いを改めて問われると、「まだあまり実感がないですけど、これから徐々に実感する場面が増えてくるんだろうなと思います」と初々しい感想。「渡辺先生と五番勝負を戦えたことは、自分にとっていい経験になったなと感じています」と前棋聖の渡辺明二冠(36)への敬意も忘れなかった。
前夜は午後9時頃、約100人のファンに見送られ将棋会館から大阪市内のホテルに戻った。母親に電話で勝利を報告し「良かったね、と言ってもらいました」。午後11時半頃床につき30分ほどで就寝。興奮も最高潮だったはずだが、普段通りに寝付けたという大物ぶりも明かした。
「初戴冠」と前夜記した色紙に、この日は「探究」と記した。その真意を「タイトルを獲得できましたけど、将棋とは本当に難しいゲームで、この立場になってもまだまだ分からないことばかり。これからも探究心を持って盤に向かっていきたい」と説明。プロの中の頂点に立ってなおその上を見据えるという、謙虚かつ強靱(きょうじん)な心が表れた。
プロデビューから3年半でのタイトル獲得。「棋士になった段階で、タイトルを目指していたんですけど、なかなか遠いものでもあった」と述懐しつつ、「3年半の経験で成長できたことが今回の結果につながったのかなとは感じています」と思いをかみしめた。
「藤井棋聖」という呼び名は「現状ではまだ慣れない」とはにかんだ。それでも、表情を引き締めると「これからタイトルホルダーとしての立ち居振る舞いだったりも勉強していければなと思っています」と宣言。「棋聖」として初めて迎えるタイトル戦となる王位戦第3局は、8月4、5日に兵庫県神戸市で指される。