加藤清史郎 3年間の英演劇留学で学んだ「自然に演じることの大事さ」
子役時代に“こども店長”の愛称で親しまれた俳優の加藤清史郎(18)が、パワーアップして帰ってきた。映画「#(ハッシュタグ)ハンド全力」(31日公開)で、7年ぶりに主演。高校3年間のイギリス留学を経て、舞い戻った加藤の“第二章”に迫る。
あの笑顔はそのままに、成長した姿がまぶしい。「#ハンド全力」は、13年の「忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段」以来、7年ぶりとなる主演映画。ハンドボール部を舞台にした青春スポ根…と思いきや、SNSへの“映え投稿”に精を出すイマドキ高校生たちの姿を描いた異色作となっている。
高校3年間は語学と演劇の勉強のためイギリスに留学。今春に日本の大学に入るまで、異国の地で学園生活を送り、週末にはドラマスクールに通った。
集団レッスンの時期には、現地の生徒たちの中に1人加わり、グループワークに参加。「『自然なことから生まれるものを大切にしていこう』みたいなレッスンが多かったです。例えば、4人くらいに分かれて1つの単語を渡される。『悲しい』とか『急がなければいけない』とか、それで5分以内にショートストーリーを考えて、やるっていう。すごい刺激的でしたね」と明かした。
個別レッスンでは「ただ歩く」ことを繰り返したこともある。「『あなたのお父さんになったつもりで歩いてみて』と言われて、ただただ歩く。『ふりをするな。演じるんじゃなくて、その人の中で生きるんだ』と言われ、言葉は理解していてもなかなか感覚が分からない。『難しい~』と思いながら、何回も歩かされました」
苦笑いで振り返る、日本ではやってこなかったアプローチ。「お芝居というより、お芝居の根本的な部分のレッスン。子役のときからレッスンは受けていたんですが、僕にとっては新鮮でした」。
本作は昨年の春休みに一時帰国し、3週間弱の熊本ロケで撮影した。レッスンを経て、自身の中で変化した部分については「ありました。演じたマサオは受け身の芝居が多くて、普通の少年なので普通でいたいなと思ったんです。レッスンで学んだのは、自然に演じることの大事さ。相手からもらったボールを自然と返せばいいんだって、自然と演じられたかなと思ったりもしました」と語った。
年2回の研修旅行ではドイツの収容所やイタリアの美術館を巡り、週末にはウエストエンドで舞台を観劇した。多様な文化を吸収し、人間として大きくなってカムバック。「お仕事をセーブしていた部分があるので、焦りもあります。たまりにたまりまくっている部分がたくさんあるので、どっかんと解放したいと思ったら(コロナ禍で)こんなことになってさらにたまっている。不安もあるんですけど、楽しみの方が大きいですね。頑張りたいです」と言葉に力を込めた。