藤井聡太棋聖は将棋を“進化”させている 内藤九段が絶賛 勝てば王位獲得に王手

 初日の対局を終え、盤面を見つめる藤井聡太棋聖=神戸市北区の旅館「中の坊瑞苑」(撮影・斎藤雅志)
 大山康晴王位(左)からタイトルを奪い、笑顔の内藤國雄新王位=1972年
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 将棋の藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に挑戦する第61期王位戦第3局の1日目が4日、兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で指された。先手番の藤井棋聖は、戦前に流行した「土居矢倉」を採用。かつて将棋界で一大勢力を築いた「神戸組」の総帥的存在で、デイリースポーツの詰将棋「詰めの妙味」を担当する内藤國雄九段(80)は、多くの戦法を指しこなす藤井棋聖を絶賛。王位戦神戸対局の歴史も語り、今局が名勝負になることを期待した。2日目は5日に同所で指され、現在2連勝の藤井棋聖は、勝利すれば王位獲得に王手をかけることになる。

 棋聖として初めて臨んだタイトル戦で選んだ作戦は、予想に反して約80年前に流行した“超クラシカル”な土居矢倉だった。

 大正から昭和初期に活躍し、名誉名人にもなった故・土居市太郎氏が考案した矢倉囲いの一種で、主に指されている形と比べて攻守のバランスを重視した形とされている。最近、棋士の間で見直されて再び流行の兆しが見えている戦型だ。

 デイリースポーツの取材に応じた内藤九段は、土居矢倉を採用した藤井棋聖について「コンピューター将棋の代表のように語られて、決まった戦法ばかりやるのかと思うと、こういう古い戦法も新しい形にして指しこなす。実に優れた感覚の持ち主ですし、将棋を進化させていると言えるのでは」と絶賛した。

 内藤九段は若武者の神戸“降臨”に感慨深かった。王位戦の対局が神戸で行われるようになったのは、1973年の第14期から。このきっかけも実は、内藤九段だった。内藤九段は72年に故・大山康晴十五世名人の連覇を12で止め、初タイトルとなる王位を獲得。当時、神戸新聞社記者だった中平邦彦氏と内藤九段が懇意だったことで、翌年から神戸新聞社が王位戦の主催者に名を連ねた。

 それから47年の時を経て、全国的に注目を集める王位戦の神戸対局が実現した。内藤九段は「本当にうれしいこと。これで神戸の将棋が再び盛り上がってくれたら」と期待を寄せた。

 内藤九段は木村王位とは、2004年の順位戦B級2組で対戦した経験を持つ。「そのときは私が勝ちましてね。夜中の12時過ぎから2人でお酒を飲みに行って、ビール7本ずつ飲みました」と述懐。「本当に性格が良くて、気持ちよく将棋を指せる相手だった。そういう方が強くなったことはうれしいし、今回は両方ともに頑張ってもらいたいね」と目を細めた。

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