藤井棋聖 史上最年少二冠&八段王手!珍しくミスった!でもしのいだ!
将棋の藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に挑戦する第61期王位戦第3局の2日目が5日、兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で指され、藤井棋聖が149手で勝利。無傷の3連勝で王位奪取に王手を掛けた。終始優勢に進めていた藤井棋聖は最終盤で手痛いミスを犯し、一時は逆転模様となったが、ギリギリの戦いを制した。第4局は19、20日に福岡市で指される。藤井棋聖は勝てば王位獲得となり、二冠達成で八段に最年少昇段。1992年に羽生善治九段(49)が王座と棋王を保持した時の21歳11カ月を3歳半以上更新する、驚異的な史上最年少二冠の誕生となる。
明らかな変調に、自身も気づいていた。勝勢で迎え、最後の仕上げとばかりに121手目に放った2一銀打が、圧倒的な終盤力を誇る藤井棋聖らしからぬ緩手だった。
木村王位はすかさず2二玉と銀を取り、上部脱出の態勢に。藤井棋聖は局後、敗者のように力ない口調で「少し寄せたところで誤算があって、その後負けにしてしまったのかもしれないなと思っていました。2二玉と取られて2三玉と上がられて厳しくなってしまった」と振り返った。
それでも、そこで取り乱さないのが藤井棋聖の底力。その後はまったく緩むことなく木村玉を追い詰め、最後は必至に追い込んで勝ち切った。「銀が1枚入ったところで好転したかなと」と語りつつ、やはり勝利の余韻を感じさせることはなかった。
藤井棋聖にとって今でも屈辱の思い出として強く残るのが、昨年11月の王将戦挑戦者決定リーグ6回戦・広瀬章人八段(33)戦。勝利目前で王手をかわし損ねて逆転負けを喫した。師匠の杉本昌隆八段(51)は、この敗戦が藤井棋聖を大きく成長させたと指摘。それから9カ月後、タイトルホルダーとして迎えた一戦で、同じ過ちは繰り返さなかった。
第2局では敗色濃厚の局面から、木村王位の緩手をついて一気に逆転。今局では真逆の展開になりかかったが、踏みとどまって王位奪取、そして最年少での二冠達成に王手を掛けた。「これまでの将棋の内容をしっかり反省して、しっかり第4局でいい将棋を指せればと」と、最後まで細い声で話した藤井棋聖。今局の苦い経験もさらに力に替えて、新たな快挙に向かって歩き出す。
◆八段昇段の条件 (1)竜王位1期獲得(2)順位戦A級昇級(3)タイトル2期獲得(4)七段昇段後公式戦190勝のいずれかを満たす必要がある。藤井棋聖は王位を獲得すれば、(3)を満たして八段昇段が決定。史上最年少での八段昇段記録は、加藤一二三九段(80)が1958年4月1日付で達成した18歳3か月。加藤九段は(2)順位戦A級昇級で昇段した。藤井棋聖は今回の王位戦で二冠を達成することができれば、最年少記録を更新する。