藤井棋聖 能楽堂でW偉業へ舞う “藤井フィーバー”で出待ち100人
将棋の藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に挑戦する第61期王位戦第4局の1日目が19日、福岡市の「大濠公園 能楽堂」で指された。時の人となった藤井棋聖を一目見ようと、対局場周辺には約100人のファンが集結。“博多っ子”も大注目の大一番は、1日目終了時点で形勢は全くの互角というがっぷり四つの一戦となった。2日目は20日に同所で指され、藤井棋聖が勝てば通算4連勝で王位を奪取。史上最年少となる18歳1カ月での二冠&八段昇段を達成する。
“第2次藤井ブーム”は、九州にも上陸していた。日中の気温が35度にも迫る酷暑の中、午前中から対局場となった能楽堂には数多くの見物客が来場。立ち入り禁止のため対局姿を見ることはできないが、写真を撮るなどして盛り上がった。
1日目の対局が終了した午後6時30分頃には、能楽堂の楽屋口付近に約100人が集結。スマホを構え、藤井棋聖が出てくるのを待った。藤井棋聖が姿を見せると、大きな拍手で迎え、乗り込んだタクシーを追いかける人もいるほどのフィーバーぶりだった。
福岡市内から来たという女性(35)は「最近、藤井さんの大ファンになったんです。福岡に来てくれるっていうので、楽しみにしてました。遠くてよく見えなかったですけど、オーラは感じました」と感激しきり。鹿児島市から新幹線で来たという女性(29)は「地方に住んでいると、なかなか実際に見ることができないので…。今回はチャンスだと思って来ちゃいました」と興奮気味に話した。
盤外の盛り上がりもさることながら、盤上での戦いも熱を帯びた。戦型は相掛かりで、木村王位が優位に進めた第2局と同様の出だしから、すぐに前例のない形へ。木村王位が積極的に攻めの手を繰り出すと、藤井棋聖も軽やかな指し回しで応じ、形勢は互角のまま1日目を終えた。
今局の対局場は、能楽堂の本舞台。能といえば、藤井棋聖が敬愛する同じ愛知出身の戦国武将・織田信長が好んで舞ったという「幸若舞」が起源ともされている。圧倒的な力で世の中に革命を起こしていった信長のごとく、前人未到の歴史をさらに作り上げるべく、藤井棋聖が勝負の2日目を迎える。