91歳三遊亭金翁 金馬と父子W襲名 永遠のライバル歌丸さんに負けたくない

 一般社団法人落語協会に所属する落語家の三遊亭金時改め五代目三遊亭金馬(57)と、父の四代目三遊亭金馬改め二代目三遊亭金翁(91)の襲名披露会見が27日、都内で行われた。芸歴80年を誇る金翁は、2018年に81歳で死去した桂歌丸さんへのライバル心をむき出しにした。

 1941年に三代目金馬に入門した金翁は、今年で芸歴80年を迎えた。金翁は金馬の隠居名だが、本人は隠居する気など毛頭ない。2018年に心不全と脳梗塞を患ったが、「死ぬまで落語をやらせていただきたいと思っている。(桂)歌丸さんも死ぬまで落語をやった。あの人には負けたくない」と、歌丸さんへのライバル心を隠さなかった。

 落語界では珍しい父子のW襲名。金馬は「襲名の話は断ってきたが、今回は逃げられなかった。父が卒寿を迎え“金馬を卒業したい”と。重い看板を下ろさせてやるのも親孝行かと思った」と打ち明ける。

 金馬は父からの教えで一番印象に残っている言葉として「楽屋に出入りする女には手を出すなよ」を挙げた。「ウチでは厳しく、謹厳実直だったけど、楽屋では大変だったようです」と苦笑い。そんな父を「長生きしてもらってるから、こうやって並んでいられる。うれしい限りです」と見やった。

 金翁は東西を通じての落語界最古参。戦中から寄席に出演しており、空襲の怖さも身を持って体験した。落語界にも新型コロナウイルス感染拡大の影響は直撃し、興行も本来の形とはほど遠い。それでも金翁は「爆弾は落ちたら分かるけど、コロナはどこから来るか分からない。それも楽屋じゃ笑い話。(落語界で)へこたれるヤツは一人もいないよ」と怪気炎を上げた。

 襲名興行は9月21日から東京・鈴本演芸場を皮切りに、都内の5演芸場で行われる。

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