山田裕貴、 理想像は「影響を与えられる人」 “カメレオン俳優”充実の30代に突入
俳優・山田裕貴(30)が充実の三十路(みそじ)を迎えている。31日スタートのテレビ朝日系ドラマ「先生を消す方程式。」(土曜、後11・00)に、主演の田中圭(36)の同僚教師役で出演。誕生日だった9月18日には「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のニューウェーブアワードを受賞し、9月11日に公開された「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」では、初のアニメ声優にも挑戦した。幅広い役柄をこなす“カメレオン俳優”を、30歳の節目に直撃した。
「先生-」は進学校を舞台にした学園サスペンス。ゲーム感覚で担任つぶしを楽しむ、高IQの生徒たちの前に、謎の切れ者教師・義澤(田中)が着任。笑顔をたたえながら、知られたくなかった弱みを突いてくる新担任を恨んだ生徒たちは、命を狙うようになる。山田はさわやかで生徒の人気も高い副担任・頼田を演じる。
田中とは、過去にもドラマや公開待機中の映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」などで共演。「現場でも、現場じゃないところでも楽しませてくれる人」と表現する先輩から学ぶことも多い。デビューから約100作品に出演した山田だが、田中の出演作は優に200超。「お芝居だけのキャリアじゃなくて、人とのキャリア、積み重ねがすごく大事だなって。関わるスタッフさんが多くなれば『またあの時の』って仕事しやすくなる。出続ける大切さは、すごく圭さんからも感じられるし、学んだ」という。
「いろいろなことを考えて感じた」20代を終え、迎える30代。コロナ禍の外出自粛期間中は、心理学や歴史関連などの本を読みあさり“勉強好き”な自分に気付いた。仕事へのスタンスで、変化を視野に入れる部分もある。
「養成所時代に『やりたい仕事は、やらなきゃいけない仕事の後にくる』という言葉をかけられたんですよ。とにかく全部チャレンジするってことを9年やってきたけど、ちょっとずつ自分がやりたいものに比重をかけていっていいのかな、っていうのも思い始めている状態です」。
幅広い役柄をこなす演技力から“カメレオン俳優”と評されることは「うれしいですね、うん。化けられた方が」と、笑顔で好意的に受け止める。19年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」ではヒロインの幼なじみを好演するなど“いい人”の役が多いが、実は「二面性がある役って、やっていても楽しい。確実に作品を動かすキャラクターってことじゃないですか。燃えますね」と明かす。
「クレヨンしんちゃん-」ではアニメ声優にも初挑戦。しっかりと役を作り込んで臨んだ結果、しんちゃん役の小林由美子が山田の出演シーンで涙したと聞き「僕は誰かの思いに応えるっていう方が燃える。ミッション達成です」と笑った。
役者としての理想像は「影響を与えられる人になること」。もちろん、ファンには感謝しつつ「新しい人たちを巻き込めるというか、別に僕のこと好きにならなくても『あの俳優さん、いいよね』ってならなきゃいけない」と決意を口にする。
サラリと力まず、でも軸はぶれない。30代もその先もそんなふうに、役者としての階段を山田裕貴は上がっていく。