羽生善治九段 竜王戦史上最短52手完敗発進 次戦へ淡々「気持ち新たに」
将棋の羽生善治九段(50)が豊島将之竜王(30=叡王との二冠)に挑戦する、第33期竜王戦七番勝負第1局第2日が10日、東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂で指され、豊島竜王が同棋戦史上最短手数の52手で勝利。タイトル通算100期に挑む羽生九段は完敗発進ながらも、次局以降の巻き返しを誓った。
1日目から駒がぶつかり合う激しい展開で、終局は2日目午後4時12分。総手数52手は、1999年の第12期七番勝負第1局で藤井猛竜王(50=当時)が鈴木大介九段(46=当時八段)を破った際の66手を大きく下回る最短手数記録となった。
2日目の午前中にはペースを奪われ、そのまま押し切られる完敗となった羽生九段。「駒がぶつかった後にいくつか分岐があったと思うんですけど、そのあたりの選択がちょっと問題があったのかもしれないですね」と冷静に振り返った。
だが、百戦錬磨の羽生九段にとって、完敗からの切り替えはお手のもの。94年1月の第63期棋聖戦第4局では、谷川浩司王将(58=当時)にタイトル戦史上最短手数の49手で敗れたが、次局を制して3勝2敗で防衛に成功した。今局の手数にも「最初から決戦になってしまったんで、そういう決着の仕方もあるかなとは思っていました」と淡々。「気持ちを新たに次から頑張っていきたい」と、視線は前を向いていた。