江川紹子氏 池袋暴走被告叩きに問題提起「加害者家族を苦しめるのは『社会』の人々」
ジャーナリストの江川紹子氏が11日夜、ツイッターに新規投稿。昨年4月の池袋暴走死傷事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反に問われた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三被告(89)が8日の初公判で無罪を主張したことから、同被告がメディアでバッシングされていることに対して疑問を呈した。
江川氏は、11日放送のTBS系「サンデー・ジャポン」で元衆院議員でタレントの杉村太蔵が「裁判において被告が自分の正当性を主張するのは基本的人権の中では最も尊重されるべき一丁目一番地。推定無罪という大原則はメディアで押さえておかないといけない」と、報じる側が冷静な視点を持つべきと訴えたネットニュースを引用し、「杉村氏まっとう。と言わなければならない状況が嘆かわしい」と指摘した。
その上で、江川氏は「一番言いたいはずの松永さんが、その点、非常に抑制的なコメントをされているのに、無関係の芸能人とかがテレビでわいわいと自分の『思い』をぶっちゃけ合うという企画そのものがどうか、と思いますね」と、妻子を亡くした遺族の松永拓也さんの姿勢と対比して、メディア側に問題提起した。
江川氏は9日付投稿で「事実確認もないまま、共犯者であるかのような非難にさらされる日々。終わりなき社会的制裁に、加害者の家族も苦しんでいる」として、批判に苦しむ同事故の加害者家族を取材した記事を引用。リプ欄の「被害者から見れば加害者を庇う加害者家族も共犯者に見える」という指摘に対し、江川氏は「加害者の家族を苦しめているのは、被害者ではなく、『社会』の人々です」と反論した。
また「加害者家族も苦しんでるかもしれんけど被害者家族はもっと苦しんでるよね、命奪われたんだから」という意見を受け、江川氏は「被害者家族の苦しみと、加害者の家族の苦しみは、質的に異なり、比較することに意味はないと思います。被害者家族が受けている、途方もない喪失感や悲しみを、何かと比較するようなことはしたくありません」と、被害者側と加害者側を単純な対立軸で分けて見ることはできないという見解を示した。