筒美京平さん死去 シングル売り上げは歴代作曲家最多の7560・2万枚

 筒美京平さん(提供・共同通信社)
 レコーディング中の一コマ=1972年ごろ
1972年発売のアルバムをレコーディングする筒美京平さん
3枚

 「また逢う日まで」「木綿のハンカチーフ」「魅せられて」「サザエさん」など、幅広い世代に愛される名曲を手掛けた、作曲家の筒美京平(つつみ・きょうへい、本名渡辺栄吉=わたなべ・えいきち)さんが今月7日に誤嚥(ごえん)性肺炎のため、都内の自宅で死去したことが12日、分かった。80歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。喪主は妻善子(よしこ)さん。「お別れ会」は現状、予定されていない。

 昭和の歌謡曲黄金期を支え、平成にもヒット曲を連発した希代の作曲家が、静かに旅だった。生涯で3000曲を生み出したとされる筒美さん。関係者によると、近年はパーキンソン病を患って、自宅療養をしていたというが、昨年も楽曲提供を行っていた。

 筒美さんは青山学院大学卒業後、1963年に日本グラモフォン・レコード株式会社(現ユニバーサルミュージック)に入社。洋楽ディレクターとして勤務後、66年に「黄色いレモン」で作曲家デビューした。作詞家の橋本淳氏からの誘いで作曲やアレンジを始め、作曲家のすぎやまこういち氏に師事。67年にヴィレッジ・シンガーズの「バラ色の雲」がヒットし、同年、グラモフォンを退社した。

 69年、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」でレコード大賞作曲賞を受賞。以後、71年に故尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」で大賞、故朝丘雪路さんの「雨がやんだら」、平山三紀の「真夏の出来事」で作曲賞、74年に野口五郎の「甘い生活」で作曲賞に輝いた。

 79年に大賞、作曲賞を受賞したジュディ・オングの「魅せられて」では、自身最多売上123・5万枚を記録。近藤真彦「スニーカーぶる~す」(104・7万枚)、「ブルー・-」(100・3万枚)と合わせて、3作がミリオンセールスとなった。

 その他の主な作品は南沙織「17才」、郷ひろみ「よろしく哀愁」、岩崎宏美「ロマンス」、故桑名正博さん「セクシャルバイオレットNo.1」など。アニメソングも数多く手掛け、「サザエさん」のオープニングとエンディングは、69年から半世紀以上にわたって親しまれている。

 ヒットチャートのベスト10入りは200曲以上、1位獲得は約40曲に及ぶ。シングル売り上げは、歴代作曲家最多となる7560・2万枚。華々しい功績を残した筒美さんだが、表舞台に出ることは好まず、作曲家人生を貫いて音楽界に尽力した。

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