グーグルVS米政府 全面対決の様相…独禁法違反で提訴「消費者の利益にならない」
米司法省と11州は20日、独占禁止法(反トラスト法)違反で米グーグルを提訴した。スマートフォンなどでグーグルのサービスを初期設定にする契約によりインターネット検索を独占し、競合他社を排除したと指摘。これに対し、グーグルは「消費者の利益にならない大きな欠陥のある提訴だ」(幹部)と猛反発し、全面対決の様相となった。
政府はグーグルの事業分割も視野に入れており、IT企業の成長促進から監視強化への競争政策の分岐点となる。グーグルは多くの無料サービスが消費者に有益だとアピールし、事業構造を死守する構えだ。訴訟は長期化が予想され、裁判所が司法省の主張を支持した場合、グーグルは企業分割に追い込まれる恐れがある。
司法省は「オンライン企業の審査はこれで終わりではない」と強調し、他のIT大手に対する提訴が続く可能性を示唆。今後はアマゾン・コムなどへの対応も焦点となる。来月3日に大統領選を控え、支配力を強める巨大ITに対するトランプ政権の厳しい姿勢を示す狙いもありそうだ。
訴状によると、グーグルは、利用者が多い米アップルに年数十億ドル(数千億円)を支払って、グーグルの検索サービスをまず使えるように設定。競合他社はこの巨額契約に対抗できないと指摘した。自社のOS「アンドロイド」を使用するスマホメーカーや通信会社とも契約を締結。「端末で(競合他社の)検索にアクセスする主要な経路をすべて封鎖し、グーグルの独占的地位を確保している」としている。
グーグル幹部は「食品会社がスーパーマーケットにお金を払い、目の高さの棚に商品を陳列するのと同じように、当社はサービスを宣伝するために(お金を)支払う」と説明。「競合他社の(検索)サービスを使用したい場合はすぐに利用できる」と強調した。