歌手の藤井フミヤ（５８）が３１日、大阪・フェスティバルホールで全国ツアー「ＡＣＴＩＯＮ」をスタートさせた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため客席が歓声を上げられない異例の公演ながらも、ファンと心を通わせた。

　ツアー初日のこの日は、ファンクラブ会員限定の公演にもかかわらず黄色い歓声は上がらなかった。客席の間隔を空け、５０パーセントの収容人数にしたことに加え、飛沫を防ぐために大きな声を出すことができない状況。藤井は、拍手でリアクションする観客を見て「そういう反応しかできないんだよな…」と戸惑いながらも「心で盛り上がってくれ！」と呼びかけた。

　「声を出せない君たちのために」と、セットリストに手拍子や振り付けのある曲を盛り込んだ。「危険なラブ・モーション」では、客席全体が体を大きく動かし、声を出せない中でも一体感を高める。大きな拍手で懸命に愛を表現するファンに「手痛いよね。帰ったらアイシングしてね」と気遣う場面も。チェッカーズの名曲「涙のリクエスト」のイントロでは「みんな歌いたいんだろうな、ここ」と、ファンが声を出していた従来のコンサートを懐かしみながら、甘い歌声で歌い上げた。

　コロナ禍で大きな打撃を受けているエンターテイメント業界だが、藤井も例外ではない。「僕だけじゃなく、スタッフを含め、久しぶりに仕事してます」と語る。「お互いに頑張りましょう」とファンを励まし「また遊ぼうぜ！」と再開を誓った。