宝塚歌劇64年在団のレジェンド・松本悠里、本拠地に別れ 松岡修造の母らと同期
2021年1月3日で退団する宝塚歌劇生徒最古参で特別顧問の専科・松本悠里が1日、宝塚大劇場の月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-」の千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。退団セレモニーは特に行われなかったが、日本舞踊の名手でもある在団64年のレジェンドの舞に、観客は惜しみない拍手を送った。
松本は1957年3月、44期生として入団。同期には元星組組長で宝塚音楽学校の副校長も務めた葉山三千子さんや、タレント・松岡修造の母で星組スターだった千波静さんらがいた。雪組に配属され、65年の第2回ヨーロッパ公演を皮切りに数々の海外公演に参加。89年、ニューヨーク公演で演じた「雪しまき」の場面は大絶賛された。
今回の退団公演では、このニューヨーク公演でも使用した赤の衣装を着用。当時の色は現在では出せないといい、帯だけ新調。ビバルディ作曲「四季」の「冬」の曲にのり、女性の情念を宝塚らしい品をまとい舞った。
宝塚の日舞は、洋楽に合わせて踊るのが歌劇団創設以来の伝統。「ベルサイユのばら」の演出でも知られ、今回の作品も手がけた元宝塚劇団理事長の植田紳爾氏(87)は、松本の才能を高く評価していた。そこで故春日野八千代さんの日舞の相手役にまだ若手だった松本を指名。「宝塚の未来を考えたら、伝統を受け継ぐ人間が必要だった」と振り返る。
宝塚の日舞の伝統を背負いながら、博多人形のような楚々とした風情の松本を、月組トップスターの珠城りょうは「『清く正しく美しく』を体現されている方」と評する。「私も男役である前に、宝塚の生徒なんだと感じます」とその生きざまに感化されている。
9度の海外公演に参加した松本は「国際親善と文化交流を果たすことができ、またあらためて宝塚歌劇団のすばらしさに気付かされました。100周年をお祝いし、すばらしい思い出を胸に卒業できることを幸せに思います」とのメッセージを寄せた。