大阪都構想否決で松井氏政治家引退明言 吉村氏「都構想に挑戦することはない」

 大阪市を廃止して4特別区を置く「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が1日、投開票され、5年前に行われた前回住民投票のような大激戦の末、反対多数で否決された。同市は存続し、制度案は廃案となる。

 大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長(56)は、2023年4月の市長の任期満了をもって政治家を引退することを明言。同代表代行の吉村洋文大阪府知事(45)にとっても、政治生命を揺るがされる結果になった。

 大阪維新の会が、大阪市内のホテルに設けた記者会見場。テレビで「反対多数確実」と報じられると、100人以上が詰めかけた報道陣からどよめきが起こり、重苦しいムードに包まれた。

 まばゆいフラッシュを浴びて会見場に現れた松井氏は、進退を問われ「やることはやった。ケジメはつけないといけない。(市長の)任期満了をもって、政治家としての任期は終了します」と、改めて引退の意向を示した。

 吉村氏は「都構想は間違っていたんだろう。やり切った。政治家として、都構想に挑戦することはない」と言い切った。進退については「(府知事の)任期は全うする。どうするのか、任期満了前に判断する」と明言を避けた。

 コロナ禍の中で行われた都構想賛成・反対両派の街頭活動。政党や市民団体が、大舌戦を繰り広げた。10月12日の告示日前後では賛成派の「楽勝」ムードが伝えられていたが、投票日が近づくにつれ、反対派が勢いを増した。

 「密」を避けるコロナ対策として、街頭演説などの場所や時間を事前に明かさなかった大阪維新の会は、予想外の賛否の拮抗を受け戦術を変えた。

 SNSなどで松井氏、吉村氏の登場を積極的に予告。当初予定になかったテレビCMも解禁したが、有権者は都構想に「NO」の審判を下した。

 松井氏も吉村氏も「コロナは関係なかった」と、潔く敗北を認めた。投票率は62・35%。前回の住民投票より、4・48ポイント下回った。

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