政府は秋の褒章受章者を２日付で発表した。３日に発令される。学問や芸術などで功績を残した人に贈られる紫綬褒章には俳優の中井貴一（５９）、漫画家の高橋留美子さん（６３）、脚本家の井上由美子さん（５９）、作家の多和田葉子さん（６０）らが選ばれた。「スーパーボランティア」として知られる尾畠春夫さん（８１）は緑綬褒章を受章した。

　中井は「必死に一つの事を継続する。その結果が今回のご褒美に繋（つな）がったのかと、自分の人生、間違いばかりではなかったと安堵（あんど）しております」とコメントを寄せた。

　ドラマ「ふぞろいの林檎たち」、映画「記憶にございません！」など多くの名作、ヒット作に出演、数々の賞に彩られた俳優人生だが「振り返ればアッという間。最近でも己の進歩の無さに愕然（がくぜん）とする事も多々あります」と謙虚に見つめる。

　コロナ禍では「人の心までもが侵される事が、最も恐れるべき事」とし、「我々の仕事を通して少しでも安らぎに繋がる様、愚直に生きて参りたい」と決意をつづった。

　父は３７歳の若さで事故死した往年のスター俳優、佐田啓二さん。「この褒章は無念にも早逝した父と供に受けさせて頂きたい」と敬愛の念をにじませた。