坂田藤十郎さん死去 優美で情のこもった上方和事極める 最後まで前を見て疾走

 歌舞伎俳優の坂田藤十郎(さかた・とうじゅうろう=本名・林宏太郎 はやし・こうたろう)さんが、12日午前10時42分、老衰のため都内の病院で亡くなっていたことが14日、わかった。88歳だった。松竹が発表した。密葬は同日、親族のみで執り行われた。藤十郎さんは上方歌舞伎の重鎮として活躍し、1994年には重要無形文化財(人間国宝)に認定された。

  ◇  ◇

 全身から匂い立つ、はんなりとした風情や色気、物悲しさ。12日死去した坂田藤十郎さんはいつも、つやつやしていた。優美で情のこもった上方和事を極め、上方歌舞伎再興のため尽力を続けた。

 「一生青春」を座右の銘に掲げていた。自他共に認める「全く後ろを振り向かないタイプ」だった。前向きさを失うことなく「形より心から出る芸やストーリーを大事にしたい」を信条に、血筋で継ぐ家の芸というよりも、自分の芸をつくることにまい進した。

 立ち役(男役)から女形、舞踊まで芸域も幅広かった。若い頃、演劇の鬼才、故武智鉄二に鍛えられた経験が心に焼きついていたからか義太夫そのものの訓練をするなど、生涯、挑戦者として古典芸能に広く学ぶ精神を持っていた。

 「思い出に浸ってなどいられない」。夢だった大名跡襲名を実現してからも「歌舞伎界の絶対的な存在になる」と新たな目標を掲げ、最後まで前を見て疾走を続けた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス