歌舞伎俳優・市川海老蔵（４２）が１５日、公式ブログを更新し、１２日に老衰のため８８歳で死去していたことが前日１４日に明らかになった大先輩、坂田藤十郎さんを悼んだ。

　海老蔵は「昨晩はとても哀しい知らせが、山城屋のおじ様が天に召されたと伺いました。私もおじ様には可愛がっていただきました」と訃報を伝えた。

　そして、「おじ様が鴈治郎の時に赤坂の会員制のレストランに招待してくださり、『実は坂田藤十郎という名跡を襲名を考えているのだよ』と若輩者の私に熱くお話になってくださった」と、大名跡の襲名を事前に明かされた思い出をつづった。

　さらに、「角力場の長吉を教えてくださったり、役者としての攻めの思考姿勢を強烈に見せて下さりました。素敵な大先輩で憧れです」と尊敬の念を吐露。長きにわたって第一線で活躍した藤十郎さんに対して「若い頃は映画でも有名にて電車に乗れなかったという話を聞き、いつか私もそのくらい有名になりたい。と思わせてくださった先輩です」と、後に続く思いを抱いたという。

　また、２０１３年に死去した父の１２代目市川團十郎さんと藤十郎さんが親交が深かったことを明かした。「公私共に親しくしていました。プライベートでのお食事。舞台での共演。父はいつもおじ様の事を尊敬していて、おじ様の芝居のことを私にも話してくれました。父がそういう話をするのは珍しいことでしたから記憶にしっかり残っています」と、團十郎さんを通しても藤十郎さんの素晴らしさを感じていたという。

　海老蔵は「曽根崎心中に河庄に葛の葉、おじ様を越える方はおそらく当面出てこない。歌舞伎界にとりとても大変な損失です」と無念の思いを記しつつ、「心からお悔やみ申し上げます」と結んだ。