東映の名物会長 岡田裕介さん急死 来年公開「いのちの停車場」完成見届けることなく
俳優や映画プロデューサーとしても活躍した東映グループ会長の岡田裕介(おかだ・ゆうすけ、本名剛=つよし)さんが18日午後10時58分、急性大動脈解離のため東京都内の病院で死去した。71歳。京都市出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は妹の高木美也子(たかぎ・みやこ)さん。お別れの会を開催予定だが、詳細は未定。亡くなる直前まで女優の吉永小百合(75)が主演する映画「いのちの停車場」(来年公開)の陣頭指揮をとっていたが、完成を見届けることなく旅立った。
長年に渡って映画界を支えてきた岡田さんの、あまりにも急な訃報に衝撃が広がった。死去した18日はいつも通りに出社。変わった様子はなかったが、帰宅後に自宅で倒れ、搬送先の病院で息を引き取った。
亡くなる直前まで、来年の勝負作「いのちの停車場」の完成に向けて尽力。製作総指揮として現場に何度も足を運び、金沢ロケにも同行するなど、最前線で作品作りに伴走していた。
東映名誉会長で名物プロデューサーとして知られた岡田茂さんの長男。慶大在学中に地元・京都のバーで俳優としてスカウトされ、1970年に「赤頭巾ちゃん気をつけて」で映画デビューした。
転機となったのが、75年に公開された岡本喜八監督の「吶喊(とっかん)」。主演とプロデューサーを兼任し、超低予算の戦争ものという難しい仕事を乗り越えた。プロデュースの魅力を知ると徐々に俳優業からシフトし、高倉健さんと吉永が主演の映画「動乱」などを製作した。
88年に東映入社。「華の乱」「北の零年」など多くの吉永作品や、織田裕二主演の「きけ、わだつみの声 Last Friends」のプロデュースを手掛けた。2002年から社長、14年から東映グループ会長や日本映画製作者連盟会長を務め、19年には日本アカデミー賞組織委員会の名誉会長に就任。豪快な性格で愛される映画界の顔だった。
自身が製作に名を連ねる作品では、ポスターのデザインや予告編の文言1つ1つまでくまなくチェック。会長になっても作品のすべてに責任を持つ、現場主義を貫いた。「いのちの停車場」は10月25日に役者パートがクランクアップしたばかり。完成を待たずしての急逝となった。