長谷川博己「新しい形の『本能寺の変』」コロナ禍乗り越え越年大河ラストスパート
俳優・長谷川博己(43)が主演するNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(総合、日曜、後8・00)がいよいよクライマックスに入った。コロナ禍による撮影中断の影響を受けながらも、年始開始の作品では大河史上初となる越年で全44話の放送回数を維持。2月7日に最終回を迎える。試練を乗り越えて1年半以上も明智光秀を演じてきた長谷川、織田信長役の染谷将太(28)、羽柴秀吉役の佐々木蔵之介(52)が、佳境を迎える作品への思いを語った。
とうとう見えてきたフィナーレ。大河ドラマの長い歴史でもかつてない難局に立ち向かってきた長谷川は「早く終わりまでいきたいという気持ちもありながら、いざ終わりに近づくと、この役から離れるのが少し寂しい気もしています」と、複雑な心境を明かした。
コロナ禍で4月から3カ月撮影が中断。同様に6月から2カ月半、放送も中断した。だが、その期間を「キャラクターの深みが増した、いろいろ熟考できたというのは、すごくいい時間だった」と、前向きに振り返る。当初予定の話数で完結することを「すごくよかった」と喜び「いい形でこういう新しい形で終われて、次の『青天を衝け』につなげられたら。そしてやっぱり大河ドラマは、何があっても、ずっと続けていってもらいたい」と願った。染谷も「44話で一つっていうことをすごく感じた」と話し、佐々木も「完走できたということが価値あること」と同意した。
これまでは“裏切り者”のイメージが強かった光秀を主人公に据え、人物像や周囲との関係性をていねいに描いてきた。今後のクライマックスでは、いよいよ「本能寺の変」を迎えることになる。数多くの作品で取り上げられてきた、戦国時代屈指のインパクトを誇る出来事。どのように描かれるのかは、視聴者が最も関心を寄せるポイントとなるのは間違いない。
初めて脚本を読んだ際、長谷川は「『おぉ、そうかぁ…』って感じでしたね。『そこ…かぁ』って感じ」と意表を突かれたという。ネタバレ厳禁とあって「これも新しい形の『本能寺の変』なんじゃないかなと、いうぐらいしか言えない」と苦笑しつつ「光秀としてはなぜそういうふうに至ったのかというのを、細かくそこらへんの機微を見る方も感じられるように演じてはいるので、視聴者の方が感情移入してくださったら一番いいな」と、自信をのぞかせた。
新しい切り口で光秀にスポットを当てた「麒麟がくる」だからこそ「本能寺の変」も、これまでのステレオタイプではない描き方になっているようだ。染谷は「台本を読んだ時にすごく感動した。すごく鳥肌が立ちまして。複雑ないろんな感情、本当に激しい感情がうごめくといいますか、そんな感じになっている」と振り返り、佐々木も「本能寺に至るまではとてもていねいに描かれていると思います。『そら~、光秀さんもそうなるわな』って」と笑いながら一端を明かした。
3人はそれぞれ、武将の青年期から壮年期までを演じた。歳を重ねた表情の変化など、1年半以上もの間、役に没入する大河ドラマならではの醍醐味(だいごみ)。長谷川が「すごく光秀の人生をがっちり生きた感じはします。むしろ今は、本当に明智光秀はこういう人生だったんじゃないかなと、もう疑わない感じ」と話せば、染谷は「時間が経つにつれ、自然と熟していく感じはしていて。『職業なんですか?』って聞かれたら『織田信長です』って言っちゃいそうなぐらい」。藤吉郎から木下藤吉郎、そして羽柴秀吉となった佐々木も「ゆっくりその役を背負いながらできたのはとても幸せ」と話す。
俳優の中で熟成を重ねた登場人物たちが、どういう戦国絵巻の結末を見せてくれるのか。染谷と佐々木からは、さまざまなピンチでも「本当に全然ぶれない」と、現場をけん引した姿勢を絶賛された長谷川。「ラストに向けていい画が撮れたと思います。クライマックス、本当に面白い作品になると思います」と、主演として力強くアピールした。