岸本加世子 向田邦子さんとの別れを明かす「じゃあね!帰ってきたらねって」
女優の岸本加世子(60)が14日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」に出演し、40年前の1981年に飛行機事故のため51歳で急逝した名脚本家・向田邦子さんとの思い出を語った。
岸本はTBSドラマ「源氏物語」(80年)で向田作品に初出演。向田さん晩年の代表作であるNHKドラマ「あ・うん」(80年)、「続あ・うん」(81年)で「向田先生のご自身とされる役」を演じた他、TBSドラマ「幸福」(80年)にも出演。晩年の向田作品に欠かせない存在だった。
岸本が向田さんと最後に会ったのは、向田さんが台湾で飛行機事故死するまで「たぶん1週間もたっていないと思う、5日くらい前」の日。向田さん初プロデュースのドラマ「わが愛の城」(81年)の撮影中、向田さんが京都まで陣中見舞いに訪れた時だったという。
昼休みに嵐山で食事をごちそうしてくれた後、「撮影所に戻ってきて、俳優会館の階段をカンカンカンと向田先生が。『じゃあね!台湾行ってくるから。帰ってきたらね』って言って」と、台湾行きを告げたという。
次回作として「続々あ・うん」が控えており、岸本は「で、くるって振り返って、階段の上から。私に『加世子!次は子供いるからね!』って。『あ、はいっ!』て言って。それが最後でした」と、最後のやりとりを振り返った。
事故のニュースを見た時は「家にいて、K・ムコウダって速報が流れた時に、もう信じられなかったですね。あの瞬間はもう、凍り付きました」という岸本。訃報の翌日、NHKで囲み取材を受ける予定があり、「あまりにも泣きすぎて、両目が腫れ上がっちゃって開かなかったんですよ。片方、ひどい方だけ眼帯して、取材に臨んだ記憶があります」と、つらい思い出を明かした。
台湾から向田さんのマンションに遺体が戻った時、向田さんとも岸本とも縁の深い演出家の故久世光彦氏から「行くぞ」と弔問に誘われたといい、「向田先生を前にして、大きな声で『ありがとうございました!』って言え」と言われた岸本は「マンションで向田先生に向かって大きな声で『先生、ありがとうございました!』って、声に出してお礼をさせていただいたんです」と、最後の別れを明かしていた。