バイデン新大統領 就任式 “脱トランプ”掲げ、壁建設中止など17文書に署名
米大統領選で勝利した民主党のジョー・バイデン氏(78)が20日、ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第46代大統領に就任した。就任演説で「民主主義が勝利した」と宣言し、新型コロナウイルス流行や社会の分断という国難を克服するため「全霊を注いで米国を結束させる」と表明。国境の壁建設を中止するなどトランプ前大統領(74)の看板政策を覆す17の文書に署名し、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」への復帰を国連に申請した。「米国第一」主義から決別し、国際協調路線への転換に踏み出した。
バイデン新大統領が就任初日から17の文書に署名。前大統領の看板政策を次々と覆し、4年間の“トランプ流”と決別する姿勢を鮮明にした。
最重要課題のコロナ対策で、今後100日間、国民に「愛国的な義務」としてマスク着用を求めるキャンペーンを開始。連邦政府の建物や公有地でマスク着用を義務化する大統領令に署名した。トランプ前政権が世界保健機関(WHO)に通告した7月での脱退に向けた手続きを停止、コロナ対策での各国の協力態勢に加わる。
就任式典での演説でバイデン氏は「民主主義が勝利した」と宣言した。約20分の演説で「民主主義」を11回、「結束」を8回使用。トランプ時代に深刻化した白人至上主義や過激主義による社会の分断を打破すると誓った。
また新型コロナにより「1年間で第2次大戦の犠牲と同じくらいの米国人が命を奪われた」と述べるなど国難に言及。「立ち向かわなくてはならない。われわれは一緒になって乗り越える」と言葉を強めた。
式典には民主党のオバマ、クリントン、共和党のブッシュ(子)各元大統領が参列。歌手のレディー・ガガ(34)が胸に平和の象徴であるオリーブをくわえたハトのブローチをつけて国歌独唱。ジェニファー・ロペス(51)も歌声を披露した。
新旧大統領が同席して融和を演出するのが慣例だったが、トランプ氏は欠席した。
上院議員だったカマラ・ハリス氏(56)も宣誓し女性、黒人、アジア系として初の副大統領となった。多くの課題を抱えながらも「立ち上がり、克服するというわれわれの信念が揺らぐことはない」と語った。
今月6日に起きたトランプ支持派の連邦議会議事堂襲撃を受け首都は厳戒態勢が敷かれ、大きな混乱はなかった。コロナ対策で出席者を制限するなど規模を大幅縮小した異例の就任式となった。