茂木健一郎氏 森会長の発言に「日本の地上波を中心とするお笑いの惨状と大いに関係」

 脳科学者の茂木健一郎氏が7日に更新したブログで、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言に「森さん一人を叩いても仕方がない」とし、「日本の地上波を中心とするお笑いの惨状」と関連させて持論を展開した。

 茂木氏は「世間は森喜朗さんを批判する一方だけど、ぼくはどうもそういう気になれない」と自身の立場を鮮明にした。「森さんのご発言は不適切そのものだけれども、森さんだけを非難しても仕方がない気がする。それはわかりやすすぎて安易すぎる。日本におけるジェンダーの不均等はもっと根が深いものだと思うからだ」と記した。

 さらに茂木氏は「そして、お前、それ関係あるのか、と言われそうだけど、日本の地上波を中心とする『お笑い』の惨状と大いに関係していると思う」とし、「日本のお笑いはステレオタイプとか差別を批判的にメタ認知してときほぐすというよりは、むしろ強化する方向のやつが多い」と指摘。

 続けて、「海外ではスタンダップ・コメディだけじゃなくて、モキュメンタリーとかでも、ジェンダーやエスニシティについての偏見や固定観念にとらわれている人を笑いでメタ認知することで相対化するという仕事をたくさんしている」と比較した。「知らないで日本のお笑いはサイコーとか井の中の蛙いつまでもやっていないで、いい加減見ろよと言いたい」と海外の文化を知ることの重要さも付け加えた。

 茂木氏は「日本のお笑いの惨状を含めて、日本の社会、文化全体がもたらした結果が森喜朗さんという方が政治家として長年活躍し、今東京五輪組織委員会会長をされているという結果につながっているわけで、森さん一人を叩いても仕方がないと心から思う」と問題の複雑さを指摘した。

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