元TBS常務・鴨下信一さん死去 肺炎、85歳 ドラマ「ふぞろいの林檎たち」など演出

 ドラマ「ふぞろいの林檎(りんご)たち」など数々のテレビドラマを手掛けた演出家で元TBS常務の鴨下信一(かもした・しんいち)さんが10日午前0時3分、肺炎のため都内の病院で亡くなった。85歳。東京都出身。葬儀は近親者で行う。喪主は長男の潔(きよし)氏。

 東大文学部卒業後の1958年にTBS入社。幸せそうな中流家庭の崩壊を描いた「岸辺のアルバム」や若者群像劇の先駆けとなった「ふぞろいの林檎たち」の演出で知られる。他にも「女たちの忠臣蔵」「高校教師」「カミさんの悪口」などを手掛け、天才演出家と呼ばれた。

 95年にTBS常務となったが翌年、オウム真理教幹部にプロデューサーが放送前の映像を見せた問題に絡んで取締役に降格。97年に再び常務となり、03年からは社長室顧問の肩書きだった。

 舞台演出やエッセーなどの執筆にも取り組み、著書に「誰も『戦後』を覚えていない」などがある。

 TBSのプロデューサーとして鴨下さんとタッグを組んだ、石井ふく子氏は「とてもショックでさみしくてさみしくて…。『女たちの忠臣蔵』や『源氏物語』など、何十年もずっと鴨下さんに助けていただいてきました。すごく頼りにしていたし、安心して一緒にお仕事ができる素敵な演出家でした。その昔、鴨下さんから『不思議な子を紹介するよ』と言われて紹介されたのが泉ピン子さんでした。鴨下さんからああいう風に紹介されたのはピン子さんだけですね。演出は厳しかったけれど、温かい人でした」と偲んだ。

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