藤井聡太二冠 AI評価値1対99覆し朝日杯V「2局とも苦戦した」
将棋の藤井聡太二冠(王位・棋聖=18)が11日、東京・有楽町朝日ホールで無観客開催された第14回朝日杯オープン戦決勝で、三浦弘行九段(46)を101手で破り2年ぶり3度目の優勝を果たした。同日午前の準決勝では“魔王”渡辺明三冠(名人、王将、棋王=36)も劇的な大逆転で撃破。準決勝で敗退した昨年の雪辱を果たした。一般棋戦優勝は銀河戦1回、新人王戦1回と合わせ5回目となった。
2戦続けて、粘りに粘っての大逆転勝ちだった。「2局とも苦戦した将棋だった」と振り返るように、途中までは苦しい展開。暗雲が立ちこめる中、突然、光が差して視界が開けたような勝ちっぷりは、まさに“将棋の申し子”だった。
準決勝では渡辺三冠と対戦。AIの評価値が99対1と出るまでに追い詰められるも、辛抱強い玉さばきで攻めを振りきり、劇的勝利で勢いに乗って、決勝に駒を進めた。
決勝はタイトルを保持したこともある棋界きっての研究家・三浦九段との対局。横歩取りに進み、序中盤は一方的に受ける展開が続いた。終盤は藤井玉が逃げるように大移動。三浦玉と大接近しひりつくような展開から、攻めをかわしきった。
先月17日の2回戦準々決勝では、6戦全敗だった豊島将之竜王(30)から公式戦初勝利。「豊島竜王や渡辺名人と対戦できたのも貴重な経験になった」と振り返った。敗れた三浦九段は「ここまで来たら藤井さん相手でも優勝したかったが、そんなに甘くなかった」と下を向いた。
藤井二冠は同棋戦初参加の第11回、最年少の15歳6カ月で棋戦優勝を果たした。第12回で最年少連覇を達成するも、昨年の第13回は準決勝で敗退。雪辱を果たしてのV3に「相性のいい棋戦なのかな」と振り返った。
今春には高校を卒業予定。「棋士として学業は別と考えていて、区切りという意識はない。より一層精進していい内容の将棋を指していきたい」と引き締まった表情で述べた。