コロナワクチンQ&A 何種類?副反応は?一般人の接種は?…医療従事者へ先行接種開始
全国10都府県で緊急事態宣言が出されている中、新型コロナワクチンの医療従事者への接種が、17日から始まる。一般の人への接種も4月には始まる見込み。「一体、どのようなワクチンなの?」。デイリースポーツでコラム「ドクター備忘録」を執筆中の松本クリニック・松本浩彦院長に解説してもらった。
◇ ◇
Q…ワクチン接種はどういう形でスタートする?
A…兵庫県では希望する医療従事者に接種券が届くのが2月下旬で、3月から接種開始です。その次が高齢者で4月から6月の間に接種。一般は4月から順次接種券が発送されます。厚労省のホームページに詳しく載っていますが、あくまで予定です。
Q…ワクチンは日本に何種類くるのか?
A…①米ファイザー/独ビオンテックが共同開発したRNAワクチン。②米モデルナのRNAワクチン。③英アストラゼネカ/オックスフォード大学が共同開発したウイルスベクターワクチン。
当面は最初に申請され、認可されたファイザーワクチンが使用されます。このワクチンは、超低温での保管を要します。
Q…RNAワクチンとは?
A…新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパクの遺伝情報を持つRNAを合成し、それを人に接種して体内でスパイクタンパクを作らせます。擬似的なウイルス感染を体内で生じさせて免疫を活性化させます。ただ構成成分に対してアレルギーを持つ人がまれに存在し、その場合に強い副反応が生じると推測されています。RNAでは新型コロナ感染症が発症しないというメリットもあります。
Q…考えられている副反応は?
A…ファイザーワクチンは21日間空けて2回、筋肉注射します。2回目の接種時に副反応が多く、頭痛・悪寒・関節痛などがみられます。接種部の痛みは約8割、発熱・倦怠感が5割強でみられ、重篤な副反応は0・6%で、300人中2人です。
痛みや発熱は接種後2日以内に自然軽快し、通常の鎮痛解熱剤で対処可能です。1月末の時点で米国ではファイザーワクチンが1000万回以上接種されてきましたが、今のところ重篤な副反応の報告はありません。ただ世界初の技術の実用化なので今後のことは不明としか言えません。
Q…ファイザー製は有効性95%というが、どういう意味?
A…2回目接種の7日後から、新型コロナウイルス発症が約95%予防され、重症化を予防できる可能性も90%と報告されています。発症予防95%とは「非接種群の発症率よりも接種群の発症率が95%少ない」という意味で、「95%の人に有効で5%の人に効果がない」「95%の人に抗体ができて5%の人に抗体ができない」「接種した人の95%は罹患(りかん)しないが5%の人は罹患する」ということではありません。
Q…一般人の接種はどんな形になる?
A…全ての国民に行き渡るのはかなり先になると予想されますが、スケジュールでは4月1日から高齢者を優先に接種が開始されます。年齢は16歳以上。筋肉注射で1回0・3ml。2回接種で間隔は21日。他のワクチン接種とは14日以上の間隔を空ける必要があります。
Q…接種後、副反応があった場合の対処方法は?
A…多くの副反応は15~30分で出現するため、厚労省の指針では接種後30分の観察スペースを設けます。アナフィラキシー症状が出現しても、すぐにアドレナリンを注射することで救命できます。その点はしっかり危機管理がなされます。
Q…今後の問題点は?
A…いつまで免疫が続くか不明、他者への感染を予防できるか不明、集団免疫が獲得されるか不明、といった点が挙げられます。16歳未満の小児および妊婦への接種については問題ない可能性が高いですが、まだ十分なデータがそろっておらず、現時点では推奨されていません。
Q…今後、この3種類の接種が認められた場合、どのワクチンを打つのか選べるのか?
A…3つの新型コロナワクチンは、すでに世界各国で接種が始まっています。私たち日本人が国内で受けられるのは3種のいずれかになりますが、時期や場所によってどのワクチンが採用されるか分かりませんので、選ぶのは不可能です。
Q…接種についての考えは?
A…日本では万全の体制で接種が行われます。新しい技術とはいえ、十分な実証実験がなされ対策も整っています。接種していただきたいと思います。
◇ ◇
松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。