第９回「市川森一脚本賞」が９日、発表され、フジテレビ系の昨年１月期ドラマ「アライブ　がん専門医のカルテ」（全１１話）の脚本を担当した倉光泰子氏（３７）が受賞した。

　都内で行われた会見に出席した倉光氏は「まさか自分が頂けると思っていなかったので光栄」と喜びのコメント。１０歳の男の子と６歳の女の子を持つ母で、「子どもたちに久々に褒めてもらった。親の仕事を認めてもらえたのでうれしかった」と明るい笑顔を弾ませた。

　「アライブ－」は、がん診療に特化した腫瘍内科を舞台に、主演の松下奈緒（３６）演じる腫瘍内科医と、バディーを組む木村佳乃（４４）演じる消化器外科医の奮闘と、様々ながん患者との人生を描いたヒューマンストーリー。

　関係者は「悪人がいないドラマを１１本全部書き切るのは、すごいチャレンジ。命と生きるということを正攻法に描いたことが評価された」と選出理由を明らかにし、倉光氏は「初めは復讐（ふくしゅう）劇を作ろうと考えていたが、話し合いで医療ドラマになった。人のいい面とかを書くのが苦手なタイプなので、自分がちゃんと書けるのかという不安はありましたが、資料や監修の先生方のお話しを聞いて、人間の素晴らしさを改めて学びました」と振り返った。

　倉光氏は１９８３年生まれ、埼玉県出身。日大芸術学部映画学科監督コースを経て、東京芸大大学院映像研究科脚本領域卒業。２０１４年に「隣りのレジの梅木さん」でフジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した。他に手掛けたドラマは「刑事ゆがみ」（２０１７年）、「スキャンダル専門弁護士　ＱＵＥＥＮ」（２０１９年）など。

　「市川森一脚本賞」は２０１１年に死去した市川氏の功績を称え、時代を背負って立つ優れた新進脚本家を選奨する賞で、前年１月～１２月に放送された作品が対象。これまで、「ボク、運命の人です」の金子茂樹氏（４５）、「アンナチュラル」の野木亜紀子氏（４７）らが受賞している。