【山田美保子のミホコは見ていた!】「音楽の日3・11」で光った中居正広の存在
「歌手の人たちが羨ましい」「被災地で自分の無力さを感じた」とは、東日本大震災の直後、多くのタレントから聞かれた声である。
単独で被災地に乗り込み、名乗らずにボランティアをし続けた彼らが無力だったはずは決してないのだが、被災地における凄まじい“歌のチカラ”に圧倒されてしまったというのだ。特に“笑い”は「不謹慎」とみなされたあの頃。バラエティー専門放送作家の私も途方に暮れた記憶がある。とにかく“歌のチカラ”というのは格段に凄いのである。
同じ想いを「音楽の日 3・11」(TBS系)に抱いた。「音楽のチカラで日本を元気に!」という願いを込めて2011年から始まった同番組。今回は「宮城セキスイハイムスーパーアリーナ」を会場に、同日、東北各地にてアーティストの歌唱を収録したVTRを入れ込みながら、生放送で行われた。
各アーティスト渾身のパフォーマンスはどれも圧巻だったが、ラスト、小林武史氏率いるBank Bandを背負い、櫻井和寿とMISIAが石巻の皆さんのコーラスと共に披露した「forgive」の力強さと未来への願いは、被災地はもちろん、日本中に届いたのではないか。
そして忘れてならないのは、中居正広のMCのチカラである。唯一、公私ともに親交があるKis-My-Ft2との絡みではバラエティー的なくだりがあった。そのキスマイも歌のエンディングで二階堂高嗣による力強いメッセージで締めくくられた。中居はそれを知っていて“遊び”の部分を入れたのだろう。
それ以外の場面では、粛々と進行し、加えて、登場するアーティストへのリスペクトを全面に出していたのが印象的だった。
中居自身、多くの国民的大ヒット曲をもつSMAPのメンバーとして、“歌のチカラ”を熟知していたから、そこに多くの言葉は必要ないと判断したのだろう。
そして、中居が義援金を募り、自身も各方面へ多額の寄付を続けていることは皆さん、ご存じのとおり。そのことも含めて彼の存在自体に大きな意味がある。
エンディング、中居は出場アーティストと視聴者に向けて3回も「ありがとうございまいした」と感謝した。彼の想いがこもったMCもまた、多くの人々を勇気づけたはずだ。