田中邦衛さん【略歴】昭和56年「北の国から」で黒板五郎役で“伝説”に
【田中邦衛さん経歴】
映画「若大将シリーズ」の青大将役や「仁義なき戦い」シリーズの槇原政吉役で強烈な存在感を発揮し、昭和56年(1981年)にスタートしたフジテレビのドラマ「北の国から」シリーズの黒板五郎役で国民的俳優となった。
田中さんは1932年11月23日、岐阜県土岐市の美濃焼の窯元の家に生まれた。大学卒業後、小学校の恩師に頼まれて岐阜の中学校で代用教員になったが、55年、三度目の正直で俳優座養成所に合格。同期(第7期生)には露口茂、井川比佐志らがいる。
61年、加山雄三主演の「大学の若大将」に若大将とは対照的なキャラクターのライバル、青大将役で出演し、悪役だが、キザで情けなくて、若大将を食ってしまうほどの存在感で、以来、「若大将シリーズ」の不動のレギュラーとなった。
73年にスタートした深作欣二監督の実録ヤクザ映画「仁義なき戦い」シリーズでは主演の菅原文太、悪役の金子信雄と共に1作目から完結編まで出演。平気で仲間を裏切るずるくせこいヤクザ・槇原政吉役をユーモアを漂わせて演じ、個性的な登場人物ばかりの中でも強烈な印象を残した。
65年からスタートした映画「網走番外地」シリーズで舎弟役を演じて以降、高倉健さんとは名コンビに。「新幹線大爆破」(75年)、「居酒屋兆治」(83年)、「夜叉」(85年)など数多く共演した。
シリアスからコメディーまで幅広い芸域を持ち、“主役キラー”とも呼ばれた名脇役が国民的な俳優に上り詰めたのは、81年にスタートした倉本氏脚本、フジテレビのドラマ「北の国から」シリーズ。21年の間に連ドラとして24話、スペシャルとして8話が放送され、北海道の厳しい自然にまっすぐに向き合いながら生きる主人公・黒板五郎を演じた。五郎は田中さんそのもの、と思わせるほどのリアリティーを持ち、国民的ドラマとなり、多くの人の胸を打った。五郎、「北の国から」は日本ドラマ史上に残る伝説となった。
三谷幸喜監督の映画「みんなのいえ」(01年)では頑固な大工の棟梁である父親役を演じ、にじみ出るおかしみを表現。三谷氏が脚本のフジテレビ「合言葉は勇気」(00年)、NHK大河ドラマ「新選組!」(04年)にも出演した。