田中邦衛さん【略歴】昭和56年「北の国から」で黒板五郎役で“伝説”に

 田中邦衛さん=2008年
地井武男さんのお別れ会で吉岡秀隆に支えられあいさつする田中邦衛さん=2012年8月6日
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 【田中邦衛さん経歴】

 映画「若大将シリーズ」の青大将役や「仁義なき戦い」シリーズの槇原政吉役で強烈な存在感を発揮し、昭和56年(1981年)にスタートしたフジテレビのドラマ「北の国から」シリーズの黒板五郎役で国民的俳優となった。

 田中さんは1932年11月23日、岐阜県土岐市の美濃焼の窯元の家に生まれた。大学卒業後、小学校の恩師に頼まれて岐阜の中学校で代用教員になったが、55年、三度目の正直で俳優座養成所に合格。同期(第7期生)には露口茂、井川比佐志らがいる。

 61年、加山雄三主演の「大学の若大将」に若大将とは対照的なキャラクターのライバル、青大将役で出演し、悪役だが、キザで情けなくて、若大将を食ってしまうほどの存在感で、以来、「若大将シリーズ」の不動のレギュラーとなった。

 73年にスタートした深作欣二監督の実録ヤクザ映画「仁義なき戦い」シリーズでは主演の菅原文太、悪役の金子信雄と共に1作目から完結編まで出演。平気で仲間を裏切るずるくせこいヤクザ・槇原政吉役をユーモアを漂わせて演じ、個性的な登場人物ばかりの中でも強烈な印象を残した。

 65年からスタートした映画「網走番外地」シリーズで舎弟役を演じて以降、高倉健さんとは名コンビに。「新幹線大爆破」(75年)、「居酒屋兆治」(83年)、「夜叉」(85年)など数多く共演した。

 シリアスからコメディーまで幅広い芸域を持ち、“主役キラー”とも呼ばれた名脇役が国民的な俳優に上り詰めたのは、81年にスタートした倉本氏脚本、フジテレビのドラマ「北の国から」シリーズ。21年の間に連ドラとして24話、スペシャルとして8話が放送され、北海道の厳しい自然にまっすぐに向き合いながら生きる主人公・黒板五郎を演じた。五郎は田中さんそのもの、と思わせるほどのリアリティーを持ち、国民的ドラマとなり、多くの人の胸を打った。五郎、「北の国から」は日本ドラマ史上に残る伝説となった。

 三谷幸喜監督の映画「みんなのいえ」(01年)では頑固な大工の棟梁である父親役を演じ、にじみ出るおかしみを表現。三谷氏が脚本のフジテレビ「合言葉は勇気」(00年)、NHK大河ドラマ「新選組!」(04年)にも出演した。

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