宝塚歌劇“花組のアニキ”瀬戸かずや退団公演「柚香光のトップ見られてよかった」
その男役らしいたたずまいから、ファンから“花組の彼氏”“花組のアニキ”とも称される瀬戸かずやの退団公演「アウグストゥス/Cool Beast!!」が2日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎えた。劇団最古の花組の男役を「花男(はなおとこ)」と呼ぶが、配属から花組育ちだけに、男役へのこだわりは強い。そんな瀬戸が退団を決意した経緯や、現在の思いを語った。
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「退団の鐘が鳴る」とよく聞きますが、私は鳴りませんでした(笑)。私の場合、日々の積み重ねかな。ずっと考えていたことで、さまざまな作品を通し、人間としても成長させて頂いたことがすごく大きい。
これまで5人のトップさんとご一緒してきました。そして柚香光(ゆずか・れい)というトップスターを見ることができて本当によかった。
今回、お芝居とショーという2本立ての、宝塚ならではの公演で退団できるのは幸せ。私が演じるアントニウスはすごく男役冥利に尽きる役。何年も男役を続けていても、まだまだ分からないことや壁があるんだな、と。どう表現するかが根気のいる作業で、そこが楽しいんですよね。ショーでも柚香と濃厚なシーンがあります(笑)。
私は花組の男役になりたかったんです。だから花組に配属されたときは、本当にうれしかった。ここでたくさんの上級生の方々に育てて頂いた。
だけど「花組の男役らしさ」を口で説明するのは難しい。私が思うに、個々がどんな男役でありたいかという気持ちがより濃く出てる、出したい、そんなプライドみたいなものが「花組の男役」かな。私は下級生時代から、背中で語れる男役になりたくて、それだけをずっと考えてきました。
(「花男」と胸を張れる?という質問に)そう自信を持って言いたいし、皆様がそう思って下さることがうれしい。逆にそれに恥じない姿で存在しなければいけないと思っています。
退団後はまだ何も固まってはいません。いまは、どんなときも私と一緒にいて下さったファンの皆様と、最後まで笑顔で走っていきたいですね。
◇5月10日まで。東京宝塚劇場は5月28日~7月4日。