悲しみの渡鬼ファミリー 橋田壽賀子さん死去…泉ピン子 最期みとり「ママ」に死に化粧

 泉ピン子(右)と並んで笑顔を見せる橋田壽賀子さん=2014年4月
 石井ふく子プロデューサー(左)と握手を交わす=2016年9月
 橋田賞の授賞式に出席した橋田壽賀子さん=2019年5月
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 日本の家族の姿を描き続け、「おしん」、「渡る世間は鬼ばかり」などの国民的ドラマを生み出した脚本家の橋田壽賀子(はしだ・すがこ、本名岩崎壽賀子=いわさき・すがこ)さんが4日午前9時13分、急性リンパ腫のため静岡県熱海市の自宅で死去した。95歳。ソウル生まれ。故人の遺志により通夜、告別式は行わず、5日に荼毘(だび)に付された。お別れの会なども遺志に従い行わない。

 渡鬼ファミリーは深い悲しみに暮れた。

 橋田作品の看板女優で、「渡鬼」では岡倉家の次女・五月役を演じた泉ピン子(73)は、橋田さんと同じく熱海居住で「昨日、意識がなくなったとき、『ママ』って呼ぶ私の声が聞こえたのか、最後に目を見開いたんです。それが最後でした」と、最期をみとったことを明かした。

 荼毘に付す際に「クルーズ旅行に行くとき、お正月に着ていたお気に入りのドレスと、橋田文化財団を設立したときに作った、松竹梅の思い出のドレスを着せて、私がお化粧をしてあげて、旅立ちました」と死に化粧を施したことも打ち明け、「『千の風になって』をかけて送りました」と旅立ちを説明した。

 60年の付き合いがある大親友の石井ふく子プロデューサー(94)は「こんなに急だなんて悔しくて、なんといっていいか分かりません。『あなた一人でどこに行ったのよ』という思いでいっぱいです」と吐露。関係者によると、駆けつけた時には、橋田さんは息を引き取っていたという。

 長女・弥生役の長山藍子(79)は「大正に生まれ、昭和、平成、令和の世を、男社会のなかで立派に生きた偉大な先輩」と称賛。三女・文子役の中田喜子(67)は「今も信じられません」、四女・葉子役の野村真美(56)は「ショックです。悲しいです」と落胆。五女・長子役の藤田朋子(55)は「どうしようという気持ち」と動揺を隠せなかった。

 長山藍子(79)演じる長女・弥生の夫・野田良役の前田吟(77)は、デイリースポーツの取材に新作の予定があったことを明かした。関係者から7月に撮影するという話を聞いていたといい、「5月頃に脚本ができて、今はお書きになっている途中だと3月に聞いていた。お元気だと思っていたらびっくりしましたよ。期待していましたから」と語った。

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