東京の寄席は上演継続 3度目緊急事態宣言も「社会の維持に必要」
4都府県への3度目の緊急事態宣言がきょう25日から5月11日まで発令される。イベントの原則無観客での開催が要請される中、浅草演芸ホールなど東京都内の4演芸場は24日、有観客で上演を続けることを公式サイトなどで発表した。大衆娯楽の寄席は「社会生活の維持に必要なもの」との判断に、ネット上では激励の書き込みが相次いだ。音楽ライブ、歌舞伎、演劇公演などは中止を続々と発表した。
大衆娯楽の火は消さない。浅草演芸ホールは、公式サイトで「『4月25日からの営業』のご案内」と題したお知らせを掲載。東京都から「無観客開催」の要請があったことを明かしたうえで「『社会生活の維持に必要なものを除く』という文言があり、大衆娯楽である『寄席』は、この『社会生活の維持に必要なもの』に該当するという判断から、4月25日以降も通常通り営業することといたしました」と宣言。これまで同様の感染予防への協力を呼びかけた。
上野の鈴本演芸場も、公式ツイッターで「東京寄席組合(鈴本演芸場・新宿末廣亭・浅草演芸ホール・池袋演芸場)及び一般社団法人落語協会・公益社団法人落語芸術協会にて協議の結果」として「『寄席は社会生活の維持に必要なもの』と判断し『4月25日以降の公演についても予定通り有観客開催』」とすることを決定したと発表。新宿末廣亭も興行継続を発表した。
落語芸術協会の関係者は取材に対し、今回は緊急事態宣言発出までが「あまりにも早すぎる」と時間的猶予がなかったと説明。今年1月からの2度目の緊急事態宣言中も「頑張ってやってきた。クラスターも出していない」と対策を講じて安全に上演した実績があることを挙げた。ただし感染拡大が深刻化した場合は「あらためて対応していく」と見直す可能性も示した。
上演継続の決定に、ネット上では「今は違うでしょ」「人の流れができるのが問題」といった批判もある一方で、多くの好意的な反応も。「決定に泣いた」「娯楽は生活に間違いなく必要」「粋だねえ」などのコメントが寄せられた。
政府は宣言発令に当たり、イベントは社会生活の維持に必要なものを除いて原則無観客での開催とすると求めている。