「紀州のドン・ファン」元妻・須藤容疑者を送検 密売人との位置情報一部一致
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家の元会社社長、野崎幸助さん=当時(77)=が2018年5月に不審死した事件で、県警は29日、殺人容疑などで逮捕した元妻の会社役員、須藤早貴容疑者(25)を送検した。須藤容疑者を乗せた車両は29日午前、大雨の中、田辺署を出発。後部座席に座った須藤容疑者は白のマスクを着けてうつむき、顔の大部分が黒髪で隠れていた。
捜査関係者への取材で、須藤容疑者が密売人に接触し覚醒剤を入手した疑いがあることが判明。須藤容疑者は事件前、SNSで密売人と連絡を取っていたとみられ、2人のスマホの解析から、須藤容疑者と密売人の位置情報の一部が一致。2人が同じ時間に田辺市内の同じ場所にいたとみられる。
また野崎さん宅の台所や掃除機から覚醒剤が検出されたことも分かった。
県警は須藤容疑者が何らかの手段で覚醒剤を飲ませて殺害したとみている。一方で過去の同種事件では、被害者から致死量の100倍近くの覚醒剤が検出されながらも殺人罪での起訴を断念したケースも。ある検察OBは「仮に『求められたから提供した』といった供述が出た場合、捜査側がそれを打ち消すだけの証拠をそろえられるかどうかが焦点だ」と話した。